FDAがリンパ腫(LBCL)の二次治療にアキシカブタゲン シロルユーセルを承認

2022年4月1日、米国食品医薬品局(FDA)は、初回化学免疫療法に対して抵抗性または初回化学免疫療法後12カ月以内に再発した大細胞型B細胞リンパ腫(LBCL)の成人患者に対して、アキシカブタゲン シロルユーセル(販売名:Yescarta[イエスカルタ]、Kite Pharma, Inc.社)を承認した。なお本剤は、中枢神経系原発リンパ腫患者の治療には適用されない。 

今回の承認は、初回治療抵抗性LBCLまたは初回治療終了後12カ月以内に再発したLBCLの成人患者を対象としたランダム化非盲検多施設共同試験「ZUMA-7」に基づくものである。患者は、再発または難治性リンパ腫に対する治療を受けておらず、かつ自家造血幹細胞移植(HSCT)の候補となりうる患者であった。合計359人の患者が、フルダラビンとシクロホスファミドによるリンパ球除去化学療法後にアキシカブタゲン シロルユーセルの単回注入を受ける群、または標準二次治療群(2あるいは3サイクルの化学免疫療法後に大量化学療法を行い、完全奏効または部分奏効を達成した患者に自家HSCTを行う)に1:1の割合で無作為に割り付けられた。

有効性主要評価項目は、独立審査委員会(IRC)が判定する無イベント生存期間(EFS)であった。EFSはアキシカブタゲン シロルユーセル群で有意に長く、ハザード比は0.40(95%信頼区間[CI]:0.31〜0.51、層別化p値<0.0001)であった。推定18カ月EFS率は、アキシカブタゲン シロルユーセル群で41.5%(95%CI:34.2〜48.6)、標準治療群で17.0%(95%CI:11.8〜23.0)であった。EFSの推定中央値は、それぞれ8.3カ月(95% CI:4.5〜15.8)および2.0カ月(95% CI:1.6〜2.8)であった。標準治療群の患者の35%が、プロトコル通り自家HSCTを受けた。HSCTを受けなかった理由として最も多かったのは、化学療法に対する反応がみられないことであった。IRCが評価した最良の客観的奏効率は、アキシカブタゲン シロルユーセル群が標準治療群と比較して統計学的に有意に高く、83%(95%CI:77〜88)に対して50%(95%CI:43〜58)であった。 

アキシカブタゲン シロルユーセルの処方情報には、サイトカイン放出症候群(CRS)と神経毒性に関する枠組み警告が記載されている。非ホジキンリンパ腫患者を対象としたアキシカブタゲン シロルユーセルの試験では、CRSが90%(グレード3以上、9%)、神経毒性が78%(グレード3以上、25%)の患者で発現した。最もよくみられた臨床検査値以外の副作用(発生率30%以上)は、CRS、発熱、低血圧、脳症、疲労、頻脈、頭痛、悪心、発熱性好中球減少症、下痢、筋骨格痛、詳細不明な感染体による感染症、悪寒、食欲減退である。 

アキシカブタゲン シロルユーセルの推奨用量は、体重1kgあたり2×10^6個のキメラ抗原受容体(CAR)陽性生存T細胞であり、最大2×10^8個のCAR陽性生存T細胞まで増量可能である。

Yescartaの全処方情報はこちらを参照。(日本語の添付文書はこちらを参照)

翻訳担当者 工藤章子

監修 北尾章人(腫瘍・血液内科/神戸大学大学院医学研究科).

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