Denileukin DiftitoxのFDA承認

商品名:Ontak

原文 2013/07/02更新

・持続性もしくは再発性のCD-25陽性皮膚T細胞リンパ腫の治療に承認

臨床試験情報、安全性、投与量、薬物相互作用および禁忌などの全処方情報はFull prescribing informationで参照できます。

2008年10月15日、米国食品医薬品局(FDA)は、持続性もしくは再発性のCD-25陽性皮膚T細胞リンパ腫の治療に用いるデニロイキン・ディフティトックス[denileukin diftitox](オンタック[Ontak®]、Eisai Medical Research社製)静注剤について、無増悪生存率(PFS)および全奏効率(ORR)の改善が立証されたことを受け、迅速承認から完全承認へと切り替えました。デニロイキン・ディフティトックスは1999年に、2種類の用量を比較したオープンラベル試験で持続的な客観的奏効が認められたことを受け、最初の承認を迅速承認プログラムのもと、皮膚T細胞リンパ腫の治療薬として受けました。

ステージIa-IIIのCD-25陽性皮膚T細胞リンパ腫患者144人が参加した、プラセボ対照・多国間複数用量試験で有効性が実証されました。前治療歴が3種類以下である患者が、1サイクル21日(最大8サイクル)のうち1日目~5日目までデニロイキン・ディフティトックス点滴静注を0.018mg/kg受ける群、0.009mg/kg受ける群、プラセボ(生理食塩水)群に無作為に割り付けられました。

3群間でベースラインの患者背景に偏りはみられませんでした。試験への参加は、中央検査による判定で腫瘍標本にCD-25の発現が認められた患者に限られました。年齢の中央値は59歳で、患者の34%が65歳以上でした。65%はあまり進行しておらず(ステージIIa以下)、中央値で2種類の前治療歴がありました。

有効性を示すデータはORRの判定に基づいており、奏効期間、および独立評価項目審査委員会判定のPFSも評価されました。0.018mg/kg投与群のORRは46%で奏効期間の中央値は220日でした。0.009mg/kg投与群のORRは37%で奏効期間の中央値は277日でした。プラセボの生理食塩水投与群のORRは16%で奏効期間の中央値は81日でした。

デニロイキン・ディフティトックス投与の両群ともに、PFSの有意な改善がみられました(プラセボ群と比較してハザード比は、0.018mg/kg群で0.27、p=0.0002、0.009mg/kg群で0.42、p=0.02)。

0.018mg/kg群で少なくとも20%の患者にプラセボ群よりも頻繁に発現した治療による有害事象は、発熱、悪心、悪寒、倦怠感、嘔吐、頭痛、末梢浮腫、下痢、食欲不振、発疹、筋肉痛でした。デニロイキン・ディフティトックス投与患者にみられた重篤な有害事象としては注入反応、毛細血管漏出症候群、および色覚障害を含む視力障害などがありました。臨床検査値異常として、低アルブミン血症および肝臓のトランスアミナーゼ上昇などが報告されています。

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河原 恭子 訳
林 正樹(血液・腫瘍科)監修 
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この薬剤情報のサマリーは、FDA抗腫瘍薬製品室長のRichard Pazdur医師により作成されています。米国食品医薬品局(FDA)とは米国保健社会福祉省(HHS)の一部門で、新薬その他の製品の安全性と有効性を確保するための機関です。 (FDA:医薬品・医療機器の承認方法の理解(原文)を参照。
FDAの使命は、安全かつ有効な製品の迅速な市場流通を促し、流通後も継続的に製品の安全性を監視することによって、国民の健康を守り、推進することです。

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