BortezomibのFDA承認

原文  2003/05/13 掲載 2013/07/01更新

商品名:Velcade[ベルケイド]

多発性骨髄腫に承認(過去に1つの治療)-2008年6月20日

マントル細胞リンパ腫(過去に1つの治療)-2006年12月8日

臨床試験情報、安全性、投与量、薬物間の相互作用および禁忌などの全処方情報Full prescribing information が参照できます。

多発性骨髄腫(過去に1つの治療)

2008年6月20日、米国食品医薬品局(FDA)は、多発性骨髄腫患者の治療用としてボルテゾミブ注射剤(ベルケイド、Millennium Pharmaceuticals社、Takeda Oncology社、Johnson and Johnson Pharmaceutical Research and Development社)を承認しました。この承認は、多発性骨髄腫患者の初期治療としてボルテゾミブを用いた臨床試験の結果によるものです。

ボルテゾミブは、すでに何らかの化学療法を受けている多発性骨髄腫患者への治療薬として2005年に承認されており、また、2003年にも、より難治性の多発性骨髄腫の治療薬として承認されていました。

今回の承認は、症候性多発性骨髄腫で未治療の患者を対象とした、国際的な多施設、非盲検、実薬対照試験に基づいた承認でした。経口メルファラン(M)+プレドニゾン(P)6週間ごと投与を9サイクル群、またはMP+ボルテゾミブ群のいずれかに患者を無作為化しました。患者は、6週間ごとにM(9mg/m2/日)+P(60mg/m2/日)を連続4日間服用、または同じ投薬スケジュールのMPに加えてボルテゾミブ(1.3mg/m2/静注)を6週間コースの第1、4、8、11、22、25、29、32日目投与を4サイクル、その後は6週間コースの週1回投与4回(第1、8、22、29日目投与)を追加で5サイクル行ないました。

有効性の主要評価項目は無増悪期間(TTP)でした。また、副次的評価項目は、全生存期間(OS)、無増悪生存率(PFS)、寛解率(RR)でした。登録患者の大半は年齢65歳以上で、合計682人の患者を無作為化し、338人がMP投与群、344人がMP+ボルテゾミブ併用治療群に割り当てられました。人口統計学や疾患のベースライン特性はいずれの群も同様でした。

事前指定の中間解析で、MP治療群に比べ、MP+ボルテゾミブ併用治療群に統計的に有意なTTPの改善が認められたため、臨床試験は中止されました(MP群の平均:15ヵ月、MP+ボルテゾミブ群の平均:20.7ヵ月、[HR:0.54(95%CI:0.42、0.70)、p= 0.000002]。OS、PFS、RRとも、MP+ボルテゾミブ併用群のほうが有意に良好でした。

ボルテゾミブを用いた臨床試験で最も多くみられた副作用(発現率30%以上)は、無力症、下痢、悪心、便秘、末梢神経障害、嘔吐、発熱、血小板減少症、精神障害、食欲不振や食欲減退、好中球減少症、神経痛、白血球減少症、貧血でした。血液毒性や神経毒性の用量調節ガイドラインの詳細は添付文書に記載されています。

(Snowberry訳・林 正樹(血液腫瘍科) 監修 )


マントル細胞リンパ腫(過去1つの治療)

2006年12月8日、FDAは最低1回の前治療を受けたことのあるマントル細胞リンパ腫患者に対する治療薬としてボルテゾミブを承認しました。

一つ以上の前治療を受けたことのある進行マントル細胞リンパ腫の患者155例を対象として、奏効率および奏効期間を評価するために、非盲検単一群多施設臨床試験が実施されました。75%の患者では、節外病変が1か所以上あり、77%がステージ4でした。

患者の91%で前治療として、アントラサイクリンまたはミトキサントロン、シクロホスファミドおよびリツキシマブが含まれていました。37%で直前の治療に対し効果が見られませんでした。患者は、1.3mg/m2のボルテゾミブの静脈内投与を1、4、8、11日目に、3週間サイクルで受けました。

奏効率は、International Workshop Response Criteria(国際ワークショップ治療効果判定基準)(1999)および独立したCT画像の読映によって求められました。総奏効率(CR+CRu+PR)は31%、奏効期間中央値は9.3か月でした。CR+Cruの奏効率は8%で、奏効期間の中央値は15.4か月でした。奏効例でのサイクル数中央値は8サイクルでした。寛解までの期間の中央値は40日(31日から204日の間)でした。

有害事象は、ボルテゾミブとの関連性に関係なく、前回報告された骨髄腫の臨床試験で見られたものと同様でした。(添付文書を参照。)最も頻繁に報告された、治療中に発現した有害事象は、無力症状(72%)、末梢神経障害(55%)、便秘(50%)、下痢(47%)、嘔気(44%)および食欲不振(39%)でした。最も頻繁に見られた、治療中止の原因となった有害事象は末梢神経障害でした。ボルテゾミブを安全に使用するため、患者は十分に水分を補給されなければなりません。

******************
ポメラニアン 翻訳
島村義樹(薬学)監修 
******************

この薬剤情報のサマリーは、FDA抗腫瘍薬製品室長のRichard Pazdur医師により作成されています。米国食品医薬品局(FDA)とは米国保健社会福祉省(HHS)の一部門で、新薬その他の製品の安全性と有効性を確保するための機関です。 (FDA:医薬品・医療機器の承認方法の理解(原文)を参照。FDAの使命は、安全かつ有効な製品の迅速な市場流通を促し、流通後も継続的に製品の安全性を監視することによって、国民の健康を守り、推進することです。

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

骨髄腫に関連する記事

再発難治性多発性骨髄腫にベランタマブ マホドチン3剤併用療法は新たな選択肢となるかの画像

再発難治性多発性骨髄腫にベランタマブ マホドチン3剤併用療法は新たな選択肢となるか

米国臨床腫瘍学会(ASCO)ASCO専門家の見解「多発性骨髄腫は 血液腫瘍の中では2 番目に多くみられ、再発と寛解を繰り返すのが特徴です。ダラツムマブ(販売名:ダラキューロ)、...
多発性骨髄腫の初期治療へのダラツムマブ上乗せ効果を示す試験結果の画像

多発性骨髄腫の初期治療へのダラツムマブ上乗せ効果を示す試験結果

米国国立がん研究所(NCI) がん研究ブログ新たに多発性骨髄腫と診断された患者を対象とした大規模ランダム化臨床試験で、標準治療レジメンにダラツムマブ(販売名:ダラキューロ配合皮下注)を...
意図せぬ体重減少はがんの兆候か、受診すべきとの研究結果の画像

意図せぬ体重減少はがんの兆候か、受診すべきとの研究結果

ダナファーバーがん研究所意図せぬ体重減少は、その後1年以内にがんと診断されるリスクの増加と関連するという研究結果が、ダナファーバーがん研究所により発表された。

「運動習慣の改善や食事制限...
【米国血液学会(ASH)】 ルキソリチニブ+ナビトクラックス併用で骨髄線維症の脾臓容積が有意に減少の画像

【米国血液学会(ASH)】 ルキソリチニブ+ナビトクラックス併用で骨髄線維症の脾臓容積が有意に減少

MDアンダーソンがんセンターMDアンダーソン主導の第3相試験で脾臓縮小患者数が約2倍に希少な骨髄がんである骨髄線維症の中リスクまたは高リスクの成人患者に対して、JAK阻害剤ルキ...