FDAが頭頸部癌の進展範囲の特定にLymphoseek[リンフォシーク]を承認

米国食品医薬品局(FDA)ニュース

速報

米国食品医薬品局(FDA)は、6月13日、診断用放射性造影剤 Lymphoseek [リンフォシーク](technetium 99m tilmanocept)注射液の新たな使用法を承認した。リンフォシークは、医師が頭頸部における扁平上皮細胞癌の進展度合いを判断する際に役立つ。

リンフォシークは、乳癌およびメラノーマを有する患者における、原発腫瘍に最も近いリンパ節の特定に、2013年に承認された。リンパ節には体内組織から流れ込むリンパ液を濾過する働きがある。このリンパ液には、とりわけ腫瘍が存在する部位から排出された場合、癌細胞が含まれている可能性がある。医師は、腫瘍から排出されるリンパ液が流れ込むリンパ節を外科的に切除し詳しく調べる生検という方法を用いて、転移の有無を判断することができる場合もある。

本日の承認で、リンフォシークは頭頸部癌患者に対して行う原発腫瘍に最も近いリンパ節の検査、センチネルリンパ節生検にも使用が可能となった。この適用により、センチネルリンパ節転移陰性の患者にとってはより限局的なリンパ節手術という選択肢が増える。

「頭頸部癌患者の中には、原発腫瘍から排出されるリンパ液が流れ込むリンパ節を切除し、病理検査することが重要な診断方法となる場合があります」と、FDA医薬品評価研究センター所長で医学博士のLibero Marzella氏は語る。「リンフォシークの使用法は、腫瘍部位に薬剤を注射し、その後携帯型放射線検知器をかざします。するとリンフォシークの放射線を取り込んだセンチネルリンパ節がわかります」。

新たな適応承認を実現するため、口唇部、口腔内、および皮膚の扁平上皮細胞癌患者85人を対象とした臨床試験を実施し、リンフォシークの安全性と有効性を確認した。患者全員にリンフォシークを注射し、その後、転移が疑われるリンパ節(リンフォシークにより識別されたリンパ節および腫瘍の部位と外科診療をもとに判断したリンパ節)を切除し、病理検査を実施した。その結果、リンフォシーク使用のセンチネルリンパ節生検は、リンパ系を介した転移の有無を正確に判別することがわかった。

臨床試験で認められた最も多い副作用は、注射部位の疼痛および炎症であった。

リンフォシークは、オハイオ州ダブリンに本拠地を置くNavidea Biopharmaceuticals, Inc. 社が販売している。

翻訳担当者 菊池明美

監修 東光久(総合内科、血液癌、腫瘍内科領域/天理よろず相談所病院)

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