ザニダタマブ+化学療法が、HER2陽性胃食道腺がんの増殖を遅らせ、生存を改善

ザニダタマブ+化学療法が、HER2陽性胃食道腺がんの増殖を遅らせ、生存を改善

ASCOの見解(引用)

「最近の進歩にもかかわらず、転移のある胃食道腺がん患者の多くでは今なお、治療開始後1年以内に疾患が進行している。今回の結果は診療に変革をもたらすものであり、HER2陽性上部消化管がん患者の新たな治療選択肢となる」。
ーRachna Shroff医師(MS、FASCO、ASCO消化管がんエキスパート、アリゾナ大学がんセンターの臨床研究副ディレクター兼消化器臨床研究チームの共同リーダー)-

試験概要

焦点ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)陽性で、局所進行または転移のある胃食道腺がん(mGEA)患者で、未治療の者
対象者転移または局所進行のある切除不能な胃食道腺がん(GEA)患者914人
主な結果Zanidatamab[ザニダタマブ]+化学療法併用(Tislelizumab[チスレリズマブ]の有無を問わず)は、HER2陽性転移胃食道腺がん(mGEA)患者において、プラチナ系化学療法+トラスツズマブ併用療法よりもがん増殖を遅らせ、生存期間を延長する可能性がある。
意義・転移胃食道腺がん(mGEA)の患者は、通常、早期段階で診断された患者よりも予後が悪く、5年相対生存率は5%から7%である。mGEA患者の約5人に1人のがんはHER2陽性である。

・10年以上にわたり、HER2陽性で転移のある胃食道腺がん(mGEA)患者に対しては、通常、分子標的療法薬トラスツズマブ+化学療法併用が一次治療として行われてきた。近年では、これらの患者のうち、PD-L1タンパク質発現と診断された患者には、免疫療法薬ペムブロリズマブも投与されている。しかし、これらの併用療法のいずれかを受けた患者の多くは、依然として1年以内にがんが進行する。

・第2相試験では、ザニダタマブと化学療法の併用は、チスレリズマブの併用有無にかかわらず、転移胃食道腺がん(mGEA)の治療に有効である可能性が示された。

・HERIZON-GEA-01臨床試験は、この治療法の影響を評価する初の第3相試験である。 

新たな第3相試験の結果、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)陽性で転移のある胃食道腺がん(mGEA)患者において、ザニダタマブ+化学療法併用療法(チスレリズマブの併用有無を問わず)ががん増殖を遅らせ、生存期間の延長に寄与する可能性が示された。 本研究結果は、2026年1月8日から10日にサンフランシスコで開催される米国臨床腫瘍学会(ASCO)消化器がんシンポジウムで発表される。 

試験について

HERIZON-GEA-01試験には、転移または局所進行があり切除不能な胃食道腺がん(GEA)患者914人が登録された。これらの患者は、がんに対する治療をまだ受けていなかった。
参加者は以下の3つの治療群のいずれかに無作為に割り付けられた: 

  • ザニダタマブ+化学療法+チスレリズマブ
  • ザニダタマブ+化学療法
  • トラスツズマブ+化学療法(本試験設計時の標準治療) 

主な知見

  • 追跡調査中央値26カ月後、ザニダタマブ+化学療法(チスレリズマブ併用有無を問わず)を投与された患者群における無増悪生存期間中央値は12.4カ月であったのに対し、トラスツズマブ投与群では8.1カ月であった。
  • 全体として、ザニダタマブはがん進行または死亡のリスクを約35%低下させた。 
  • 治療18カ月後、がんが増殖も転移もしていなかった患者の割合は、ザニダタマブ+チスレリズマブ+化学療法併用群で44%であったのに対して、ザニダタマブ+化学療法併用群では38%、トラスツズマブ群の患者では約21%であった。
  • ザニダタマブ+チスレリズマブ+化学療法併用群における全生存期間(OS)中央値は26.4カ月であった。
  • ザニダタマブ+化学療法併用群のOSデータは、本解析時点では統計学的に有意ではなかったが、研究者らはこの群においてもOSの改善傾向を認めた。  
  • グレード3以上の有害事象を経験した患者の割合は、ザニダタマブ+チスレリズマブ+化学療法併用群で約72%であったのに対し、他の2群では約59%であった。 
  • 治療を中止した患者の割合は、ザニダタマブ+チスレリズマブ+化学療法併用群で約12%、ザニダタマブ+化学療法併用群で8.5%であったのに対して、トラスツズマブ群では2.3%であった。

ザニダタマブを併用した2群で最も頻度の高かった重篤な副作用は、下痢、カリウム欠乏(低カリウム血症)、赤血球減少(貧血)であった。トラスツズマブ群では、下痢、貧血、白血球減少、血小板減少が最も頻度が高かった。下痢はザニダタマブの既知の副作用であるため、ザニダタマブ併用群の患者には下痢を軽減・予防する薬剤が投与されていた。 

「近年新たな治療法が導入されているにもかかわらず、転移のある胃食道腺がん患者の予後は依然として限定的である。本試験は、HER2陽性の一次治療における併用療法の一部として、トラスツズマブと比較して、新規HER2標的療法の有効性を実証した最初の第3相試験である」と、筆頭著者のElena Elimova医師(カナダ・トロントのプリンセス・マーガレットがんセンター所属)は述べた。 

次のステップ

研究者らは、ザニダタマブ+化学療法の併用療法について、2026年半ばに追加の全生存期間(OS)中間解析を計画している。ザニダタマブはまた、複数のHER2発現固形腫瘍において、さまざまな治療法との併用が検討されている。

本試験は、BeOne Medicinesと共同で実施されたJazz Pharmaceuticalsの支援によるものである。   

  • 監修 野長瀬祥兼(腫瘍内科/市立岸和田市民病院)
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  • 原文掲載日 2026/01/06

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