免疫療法薬+TIL療法により、さまざまな転移固形がんが縮小

免疫療法薬+TIL療法により、さまざまな転移固形がんが縮小

個別化がん免疫療法の一種である腫瘍浸潤リンパ球(TIL)療法の新しい方法が、転移消化器がんの患者に対する治療効果を劇的に改善したことが、米国国立衛生研究所(NIH)の研究者らが主導した臨床試験の結果で示された。この研究結果は、2025年4月1日付けNature Medicine誌で発表され、細胞ベースの治療法の開発が進んでいなかったさまざまな固形腫瘍に対して、この治療法を使用できるかもしれないと期待される。

この治療法では、患者の腫瘍細胞を特異的に認識して攻撃する免疫細胞 (TIL) をその腫瘍内で選別する。次に、これらのTILを研究室で大量に培養し、最終的に患者の体内に投与する。

臨床試験に参加したさまざまな消化器腫瘍の患者は、免疫反応をさらに高めるために免疫チェックポイント阻害薬ペムブロリズマブ(販売名:キイトルーダ)も投与された。その結果、選別TILとペムブロリズマブを投与された患者の約24%で腫瘍の大きさが大幅に縮小したのに対し、選別TILのみを投与され、ペムブロリズマブは投与されなかった患者では7.7%であった。抗腫瘍活性で選別していないTILを投与された患者では腫瘍の縮小はみられなかった。

「TILによる細胞療法が一般的な固形がんに初めて適用されようとしています」と、NIH国立がん研究所の研究主任研究者であるSteven A. Rosenberg医学博士は言う。「一般的な固形がんに細胞ベースの免疫療法を使用することで、がんという強固な壁に少し割れ目が生じました。この割れ目をさらに広げる方法があると考えています」。

この臨床試験には、食道がん、胃がん、膵臓がん、結腸がん、直腸がんなど、中央値4回の治療歴があるにもかかわらず悪化した転移性消化器がん患者91人が登録された。試験のパイロットフェーズでは、抗腫瘍活性で選別されていない腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を用いて18人の患者が治療され、客観的奏効(少なくとも30%の腫瘍縮小を客観的奏効とみなす)はみられなかった。第2フェーズでは、選別TILを用いた治療が39人の患者に行われ、3人 (7.7%) に客観的奏効がみられた。

第3フェーズでは、新たに導入した免疫細胞が患者自身の免疫系によって不活性化されるのを防ぐため、34人の患者に選別TIL療法直前にペムブロリズマブを投与した。このグループは最も良好な反応を示し、34人中8人 (23.5%) の患者に客観的奏効がみられた。91人の患者全員に、TIL療法の前に標準化学療法と高用量インターロイキン-2も投与されていた。

試験の第2フェーズおよび第3フェーズでは、結腸、直腸、膵臓、胆管のがんを含む複数種の消化器がんにおいて客観的奏効が認められた。奏効は、選別TIL療法のみを受けたグループでは8カ月から5.8年以上持続し、選別TIL療法およびペムブロリズマブを受けたグループでは4カ月から3.5年持続した。選別TIL療法を受けた患者の30%に重篤な副作用が生じた。

研究者らは現在、ペムブロリズマブを用いた選別TIL療法に反応する患者の数を増やせるよう、腫瘍内の複数の特定のタンパク質(ネオアンチゲンと呼ばれる)を認識するTILを同定する方法の開発に取り組んでいる。

TIL療法は、1980年代後半にRosenberg博士とNIHの同僚によって開発されたのだが、患者自身の腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を使って腫瘍細胞を攻撃する。昨年、食品医薬品局(FDA)は、固形がんに対する初のTIL療法であるlifileucel[リフィリューセル]を、進行メラノーマ(悪性黒色腫)の治療薬として承認した。

今回の研究は、Rosenberg博士とNCIの研究者Frank J. Lowery博士、Stephanie L. Goff医師が共同で主導した。

  • 監修 野長瀬祥兼(腫瘍内科/市立岸和田市民病院)
  • 記事担当者 山田登志子
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  • 原文掲載日 2025/04/01

この記事は、米国国立がん研究所 (NCI)の了承を得て翻訳を掲載していますが、NCIが翻訳の内容を保証するものではありません。NCI はいかなる翻訳をもサポートしていません。“The National Cancer Institute (NCI) does not endorse this translation and no endorsement by NCI should be inferred.”】

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