ゼノクツズマブが希少胆管がんに臨床的有用性を示す
Zenocutuzumab[ゼノクツズマブ](販売名:ビゼングリ)は、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)とHER3を標的とする二重特異性抗体であるが、ニューレグリン1( NRG1 )遺伝子融合を有する胆管がん患者の3分の1以上に奏効をもたらした。これは、第2相eNRGy臨床試験の結果によるものであり、10月22日から26日にかけて開催されたAACR-NCI-EORTC分子標的国際会議で発表された。
胆管がんは、米国で年間約2,000~3,000人に診断される稀ながんの一種であり、胆管に発生する。胆管は肝臓内外の管のネットワークの一部で、胆汁を胆嚢および小腸へ運ぶ役割を担う。NRG1陽性胆管がんは1%にも満たないが、NRG1陽性であるということは、がんを促進する細胞プロセスを活性化するNRG1融合タンパクが腫瘍内に存在することを意味すると、スローンケタリング記念がんセンター腫瘍内科医のAlison Schram医師は説明する。
「NRG1陽性胆管がんは一般的に悪性度が高い。進行胆管がんに対する最も一般的な一次治療は化学療法と免疫療法の併用だが、疾患は必ず進行する」とSchram医師は述べた。「NRG1陽性腫瘍は、承認済み標的療法の対象となり得る他の腫瘍ドライバー変異を欠いていることが多く、一次治療の化学免疫療法が効力を失った後、これらの患者に有効な治療法はほとんどない」。
ゼノクツズマブは、細胞表面に存在し細胞増殖を調節するタンパクであるHER2とHER3の両方を標的とする二重特異性抗体である。NRG1融合タンパクはHER3に結合し、HER3の構造変化を誘導することでHER2-HER3複合体の形成を促進し、下流の増殖シグナル伝達を活性化する。ゼノクツズマブはHER2とHER3の両方を標的とすることで、増殖促進作用を持つHER2-HER3複合体の形成を阻害するとともに、この複合体形成を促進するHER3とNRG1の相互作用も阻害するように設計されている。
ゼノクツズマブの臨床的有効性を評価するため、Schram医師らは国際的な第2相eNRGy試験に参加している。この試験では様々なNRG1陽性固形腫瘍患者が登録されている。同試験の初期結果は、2024年に米国食品医薬品局(FDA)が特定のNRG1陽性肺がんおよび膵臓がん治療薬としてゼノクツズマブを承認する根拠となった。
eNRGy試験には、進行NRG1陽性胆管がん患者22人が登録された。これらの患者は従来の治療法の治療歴があるか、または従来の治療法が適用不可であった。患者の年齢中央値は57歳で、91%は全身療法の治療歴があった。
今回は、Schram医師が有効性解析に組み入れられたNRG1陽性胆管がん患者19人の成績を報告した。中央値15.2カ月の追跡期間後、7人がゼノクツズマブに対して部分奏効を示し、全奏効率は37%であった。奏効持続期間の中央値は7.4カ月、無増悪生存期間の中央値は9.2カ月であり、データカットオフ時点において全生存期間の中央値は未達であった。
治療前後にがん抗原19-9(CA19-9、胆管がんのがんバイオマーカー)の血中濃度を測定した16人の患者全員でCA19-9値の低下が認められ、そのうち11人では少なくとも50%以上の減少が確認された。
Schram医師は、CA19-9などのがんバイオマーカーの減少が、治療の抗がん活性を裏付ける有用な補助指標となると指摘した。
ほとんどの有害事象はグレード1または2であった。最も頻度の高いグレード3または4の有害事象は、貧血、低マグネシウム血症、およびγ-グルタミルトランスペプチダーゼ値の上昇であった。
「これらのデータは、ゼノクツズマブの効果がFDA承認の肺がん・膵臓がん適応を超えて胆管がんにも及ぶことを示唆している」とSchram医師は述べた。「ゼノクツズマブは、未充足ニーズが顕著な患者集団であるNRG1陽性胆管がん患者に対する新たな治療選択肢となり得る」。
本研究の限界はサンプルサイズが小さい点である。しかしSchram医師は次のように指摘している。「希少がん種や、NRG1融合のような稀なゲノム変異によって駆動される腫瘍を対象とした臨床試験の実施は困難である。しかし、分子特性が異なる腫瘍から結果を類推することは適切ではない。稀なゲノム変異によって駆動される腫瘍は、独自の生物学的特性を持っており、標準治療への反応も異なることがますます明らかになっている」。
(開示情報については、原文を参照のこと。)
- 監修 泉谷昌志(消化器内科、がん生物学/東京大学医学部附属病院)
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- 原文掲載日 2025/10/22
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