【ASCO2026】「トリプルパンチ」併用療法は一部の大腸がんの進行を遅らせる
ASCOの見解(引用)
「化学療法、免疫チェックポイント阻害薬アテゾリズマブ、そして分子標的治療薬ベバシズマブの併用は、ミスマッチ修復欠損または高頻度マイクロサテライト不安定性である転移大腸がんの一次治療において、画期的な治療法となる可能性がある。本試験において、アテゾリズマブ単独と比較して、この併用療法は奏効率、病勢コントロール率、そして無増悪生存期間中央値において優れた成績を示しており、これらの患者にとって新たな治療選択肢となる可能性がある」。
-ASCOエキスパート、Vishwanath Sathyanarayanan医師(インド、バンガロールのアポロ病院、Lead Oncosciences、 Karnataka Region、シニアコンサルタント兼学術アドバイザー)-
試験概要
| 焦点 | ミスマッチ修復欠損(dMMR)または高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)転移大腸がん(mCRC) |
| 対象者 | 未だ治療を受けていないdMMR/MSI-H mCRC患者102人 |
| 主な結果 | dMMR/MSI-H mCRC患者において、化学療法とベバシズマブをアテゾリズマブとの併用により、無増悪生存期間(PFS)はアテゾリズマブ単独の場合の約5カ月と比較して2年以上に延長された。 |
| 意義 | ・大腸がんの約4分の1は遠隔転移がある。これらのがんは早期大腸がんよりも治療が困難で、5年相対生存率は約16%である。 ・転移大腸がん(mCRC)の約4%から7%にdMMRまたはMSI-Hという異常が認められる。 ・dMMR/MSI-HのmCRC患者に対する現在の標準一次治療は、PD-1/PD-L1免疫チェックポイント阻害薬である。しかし、過去の研究によれば、この治療を受けた患者の約半数では治療後1年以内にがんが増殖している。 |
第3相COMMIT臨床試験の結果によると、ミスマッチ修復遺伝子欠損(dMMR)または高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)の転移大腸がん(mCRC)患者において、化学療法とベバシズマブをアテゾリズマブと併用することで、無増悪生存期間(PFS)がアテゾリズマブ単独療法ではわずか5カ月強であったのに対し、併用療法では2年以上まで大幅に延長することが示された。この研究は、1月8日から10日までサンフランシスコで開催される2026年米国臨床腫瘍学会(ASCO)消化器がんシンポジウムで発表される。
「免疫チェックポイント阻害薬は、dMMRまたはMSI-Hである転移大腸がん(mCRC)の一次治療として化学療法よりも優れていることが示されていますが、KEYNOTE-177試験の結果によれば、患者の29.4%で病勢が進行し、12カ月無増悪生存率はわずか55.3%でした。これらの知見は、PD-1/PD-L1単独療法の有効性を向上させる戦略の必要性を浮き彫りにしています」と、筆頭著者であるCaio Max Sao Pedro Rocha Lima医師(理学修士、ノースカロライナ州ウィンストン・セーラムにあるアトリウム・ヘルス・ウェイク・フォレスト・バプティスト・メディカルセンター)は述べる。
試験について
COMMIT試験では、dMMR/MSI-H転移大腸がん(mCRC)の一次治療において、化学療法とPD-L1免疫チェックポイント阻害薬アテゾリズマブの併用が、アテゾリズマブ単独よりも良好な転帰につながるかどうかを評価した。2017年11月から2025年3月までの間に、本試験には、まだ治療を受けていないdMMR/MSI-H mCRC患者102人が登録された。参加者の年齢中央値は62歳で、ほぼ半数(48%)が女性であった。
患者は3つの治療群のいずれかに無作為に割り付けられた。
41人の患者は、一般的な化学療法薬、分子標的治療薬ベバシズマブ、およびアテゾリズマブの併用であるmFOLFOX6を受けた。
41人の患者にはアテゾリズマブを単剤投与した。
20人の患者には、ベバシズマブと化学療法を併用投与した。しかし、第3相臨床試験KEYNOTE-177の結果により、これらの患者に対する一次治療として免疫療法が化学療法よりも有意に良好な転帰をもたらすことが判明したため、この治療群は2020年6月に終了した。
主な知見
この解析では、研究者らは最初の2つの治療群のデータを比較した。中央値3.5年の追跡調査で、以下の結果が得られた。
- 化学療法+ベバシズマブをアテゾリズマブと併用することで、アテゾリズマブ単独投与と比較して、がんの増殖または転移を抑制できる期間が有意に延長した。
- 併用療法を受けた患者のPFS(がんの増殖または転移までの期間)中央値は24.5カ月であったのに対し、アテゾリズマブ単独投与群ではわずか5カ月強であった。
- 奏効率(ORR:治療に反応してがんが縮小した患者の割合)も、併用群の方が高かった。併用群のORRは86.1%であったのに対し、アテゾリズマブ単独投与群では46%であった。
- 治療1年後の疾患制御率(DCR:治療に反応してがんが縮小または安定した患者の割合)も、併用群の方が高かった。併用群の DCRは 64.7%であったのに対し、アテゾリズマブ単独群では 32.4%であった。
併用療法は副作用の増加をもたらした。併用療法群の患者のうち、グレード3以上の有害事象を経験した患者は34人であったのに対し、アテゾリズマブ単独群では18人であった。また、グレード5の有害事象を経験した患者数も併用療法群の方が多く、アテゾリズマブ単独群ではわずか1人であったのに対し、4人であった。
次のステップ
研究者らは、化学療法+ベバシズマブ+アテゾリズマブ併用療法から効果が得られる可能性が最も高い患者群を特定するために、相関バイオマーカー解析を実施する予定である。これらの研究では、腫瘍および免疫微小環境の特徴、血中バイオマーカー、そして治療効果と耐性の分子相関を評価する予定である。目標は、患者選択の改善と、将来の前向き試験の設計に役立つ情報を提供することである。
COMMIT試験は、米国国立がん研究所(NCI)とGenentech社の資金提供を受けた。
- 監修 中村能章(消化管悪性腫瘍/オックスフォード大学腫瘍部門)
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- 原文掲載日 2026/01/06
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