大腸癌の新薬VectibixをFDAが承認

大腸癌の新薬VectibixをFDAが承認

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FOR IMMEDIATE RELEASE:September 27, 2006
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米国食品医薬品局(FDA)は本日、標準的な化学療法実施後に転移(他臓器へ進展)した結腸直腸癌患者の治療薬として、Vectibix (パニツムマブ[panitumumab])を承認した。Vectibixは一部の癌細胞表面にみられる上皮成長因子受容体(EGFR)と呼ばれるタンパク質に結合するモノクロナール抗体であり、腫瘍増大を遅らせる効果ならびに、一部の症例では腫瘍サイズを縮小させる効果がみられたことから迅速に承認された。

米国において、2006年に新たに結腸癌と診断される患者は15万人、結腸直腸癌による死亡は5万5千人にのぼると推定されている。全結腸直腸癌の約70%はEGFR陽性である。

「結腸直腸癌は米国で3番目に多い癌であり、癌死の原因の第三位である」と、FDAの医薬品評価・研究センター所長Dr. Steven Galson氏は述べる。「本薬剤の承認により、生命にかかわる疾患の進行期にある患者の治療選択肢が1つ増える」。

FDAは、フッ化ピリミジン、オキサリプラチン、イリノテカンといった化学療法剤で治療後の転移性結腸直腸癌患者463例に対して行ったランダム化比較臨床試験の結果に基づき、Vectibixを承認した。

増悪あるいは死亡までの期間は、Vertibix投与を受けた患者が平均96日であったのに対し、癌治療せずに最良と思われる標準的支持的ケアを受けた患者では60日であった。さらにVectibix投与例の8%に腫瘍縮小効果がみられ、一部の患者では治療前の腫瘍サイズよりも50%以上縮小していた。両試験群の全生存期間に差はみられなかった。

迅速承認プログラムの下では、深刻かつ生命にかかわる疾患の治療薬は、その薬に有望な効果がみとめられた場合、開発過程で早く利用可能にすることができる。承認の一環として、Vectibixの製造会社は、これまでに殆ど化学療法を行っていない患者を対象に,この薬剤が生存期間を延長するかどうかを明らかにするための市販後臨床試験を行うことを約束した。

複数のVectibix研究においてみられた重篤な有害事象は、肺繊維症、感染を伴う重度の皮膚発疹、インフュージョン反応、腹痛、悪心、嘔吐、便秘であった。頻繁にみられた薬害関連有害事象は発疹、疲労感、腹痛、悪心、下痢であった。

Vectibixはカリフォルニア州Thousand OaksのAmgen社が製造。

(Okura 訳・瀬戸山修(薬学) 監修 )

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