【AACR2025】リキッドバイオプシー検査で、切除可能大腸がんの再発を画像診断前に検出

循環腫瘍DNA(ctDNA)ベースの超高感度リキッドバイオプシー検査により、大腸がん患者において、画像診断前に再発の徴候が検出され、手術後1カ月以内に予後値が示された。このVICTORI研究の中間結果が、4月25日から30日に開催された米国癌学会(AACR)年次総会2025で発表された。

バイオインフォマティクス技術者で本研究発表者であるEmma Titmuss氏(理学修士、バンクーバーBC Cancer在籍)によれば、治療後のctDNAの検出は大腸がん再発の強力な指標であるが、血液中のctDNAの痕跡は非常に微量であるため、検出されないことが多い。この血中バイオマーカーを早期に検出できれば、臨床的判断材料として組み込むことができる貴重な情報を提供できる可能性があるとTitmuss氏は説明した。

「手術後、ctDNAリキッドバイオプシーは、追加治療が最も奏効する患者を特定するのに役立つ可能性があります」と、BC Cancerの腫瘍内科医であり、本研究の主任研究者であるJonathan Loree医師(修士)は言う。「また、予後良好な患者が不必要な化学療法による毒性を回避するのに役立つ可能性もあります。リキッドバイオプシーは、患者の再発をモニタリングすることで、臨床ケアを継続的にサポートし、早期再発予防のための2回目の根治目的手術を受ける患者の増加につながると思われます」。

VICTORI試験は、大腸がん患者の手術後の再発予測において、ctDNA検出を行う最適なタイミングを特定することを目的とする。この中間前向き解析には、切除可能大腸がん患者71人(ステージ1~3の患者52人、ステージ4の患者19人)が含まれた。

研究者らは、患者ごとに最大1,800の体細胞変異から成る、個別化された腫瘍組織由来パネルを作成した。リキッドバイオプシーは、手術前、術後8週間は2週間ごと、そして最長3年間3カ月ごとに採取され、NeXT Personalアッセイを用いて解析された。

未治療、ステージ1以上のがん患者33人全員において、手術前にctDNAが検出されていた。

臨床転帰を評価可能な患者65人のうち、23人が臨床再発を、その大半(87%)は、術後8週間、つまり術後補助化学療法が通常投与される重要な期間内にctDNA陽性となった。臨床再発が生じた患者は全員が、リフレックスイメージングにより再発が検出される前、中央値で198日前までにctDNA陽性であり、肺などの検出が困難な転移部位も含まれていた。ある患者は、臨床再発の416日前にctDNA再発がみられた。Titmuss氏によると、ctDNAは2 ppmという低濃度で検出された。初回検出時のctDNA濃度の中央値は24.4 ppm、最高値は111,120 ppmであった。初回検出時のctDNA濃度が高いほど、臨床再発までの期間が短いことが示された。

「本研究の結果は、外科手術後のctDNA検査の理想的な時期を明らかにするのに役立ち、術後2週間という早期から残存がんを検出できることを示しています」とTitmuss氏は言う。しかし、手術直後のctDNA検査では、正常な遊離DNAによってctDNAが希釈される可能性があり、臨床判断の材料としてctDNAを採取するには4週間後が臨床的に適切な時期であるように思われると、Titmuss氏は付け加えた。

本研究はさらに多くの患者を登録し続けており、これにより結果の精度が向上し、ctDNAを臨床管理とケアの判断ポイントとして取り入れる今後の前向き研究の指針となることを著者らは期待している。

本研究の限界の一つは、観察研究であるため、ctDNA検出後の介入がないことである。著者らは、臨床管理におけるこの技術の最も効果的な使用方法を決定するために、ランダム化試験が必要であると指摘している。

*本研究の情報開示については、原文を参照のこと。

  • 監修 石井一夫(計算機統計学/公立諏訪東京理科大学)
  • 記事担当者 山田登志子
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  • 原文掲載日 2025/04/28

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