自閉症とワクチン

自閉症とワクチン

米国疾病対策予防センター(CDC)   

主なポイント

  • 「ワクチンは自閉症を引き起こさない」という主張は、証拠に基づいた主張ではない。乳幼児のワクチンが自閉症を引き起こす可能性を否定していない研究が複数存在するためである。
  • 関連性を支持する研究は、保健当局によって無視されてきた。
  • 米国保健福祉省(HHS)は、自閉症の原因に関する包括的な評価を開始しており、ここには妥当な生物学的メカニズムや潜在的な因果関係の調査が含まれている。

「ワクチンは自閉症を引き起こさない(*)」のか 

2025/11/19
連邦機関が公衆に提供する情報の品質、客観性、有用性、完全性を確保することを義務付けるデータ品質法(DQA)に基づき、「ワクチンは自閉症を引き起こさない」という主張が科学的根拠に基づくものではないという理由により、本サイトを更新しました。科学的研究では乳幼児のワクチンが自閉症の発症に寄与する可能性を否定されていませんでしたが、ワクチン接種への躊躇を防ぐため、CDCや米国保健福祉省(HHS)傘下にある他の連邦保健機関は本主張を従来より発信してきました。

米国保健福祉省(HHS)は自閉症の原因に関する包括的評価を開始しており、ここには妥当な生物学的メカニズムの可能性や潜在的な因果関係の調査が含まれています。データ品質法の要求に基づき、本サイトを米国保健福祉省による自閉症原因の包括的評価から得られた最高水準の科学的知見の内容に更新します。

データ品質法の要求に基づき、ワクチンと自閉症スペクトラム(自閉症)に関する証拠および研究の現状とその不足点の詳述、および回答を得るための米国保健福祉省の今後の研究方向性を以下に概説します。

背景

自閉症の原因に関するアメリカ国民の疑問に対処することは、公衆衛生上の指針が国民の懸念に十分に対応できるよう確保する上で極めて重要である。調査対象となった自閉症児の保護者の約半数が、ワクチンが子どもの自閉症に関与したと考えており、そこには生後6ヵ月以内に接種されるワクチン(3種混合(ジフテリア・破傷風・百日咳)ワクチン(DTaP)、B型肝炎ワクチン(HepB)、ヘモフィルスインフルエンザ菌b型ワクチン(Hib)、不活化ポリオワクチン(IPV)、肺炎球菌結合型ワクチン(PCV))、ならびに生後1年以降に接種されるMMR(麻疹・おたふく風邪・風疹)ワクチンが挙げられている。この関連性については、科学者集団による適切かつ徹底的な研究は行われていない。

1986年におけるCDCの乳幼児向け(1歳以下)予防接種スケジュールでは、経口ポリオワクチン(OPV)の2回接種、3種混合(ジフテリア・破傷風・百日咳)ワクチン(DTP)の3回接種で、合計5回のワクチン接種が推奨されていた。2025年におけるCDCのの乳幼児向け(1歳以下)予防接種スケジュールでは、生後6ヵ月までにロタウイルスワクチン(RV)の3回経口接種、およびB型肝炎ワクチン(HepB)、3種混合(ジフテリア・破傷風・百日咳)ワクチン(DTaP)、ヘモフィルスインフルエンザ菌b型(Hib)ワクチン、肺炎球菌結合型ワクチン(PCV)、不活化ポリオワクチン(IPV)をそれぞれ3回接種、生後7ヵ月までにインフルエンザワクチン(IIV)を2回接種、さらに生後12ヵ月にヘモフィルスインフルエンザ菌b型ワクチン(Hib)、肺炎球菌結合型ワクチン(PCV)、MMR(麻疹・おたふく風邪・風疹)ワクチン、水痘ワクチン(VAR)、A型肝炎ワクチン(HepA)の接種が推奨されている

1980年代以降の自閉症有病率の上昇は、乳幼児へのワクチン接種の増加と相関している。自閉症の原因は多因子性である可能性が高いものの、特定の要因を完全に否定する科学的根拠は確立されていない。例えばある研究では、懸念される環境的原因の中でワクチンに含まれるアルミニウムのアジュバント(免疫補助剤)が自閉症有病率の上昇と最も高い統計的相関を示した。相関関係は因果関係を証明するものではないが、本知見はさらなる研究に値するものである。

科学的根拠の現状:乳幼児のワクチン - 三種混合(DTaP)、肝炎HepB、Hib、不活化ポリオ(IPV)、肺炎球菌

1986年制定の「全国小児ワクチン傷害法」では、「保健福祉長官は、百日咳などに対するワクチンとその疾患・状態(存在する場合)との関連性の性質、状況、程度に関する全ての関連医学的・科学的情報の調査を完了しなければならない」と規定されていた。そこには、自閉症を含む11の特定疾患および状態が列挙されている。

その後、米国保健福祉省(HHS)および全米医学アカデミーによる複数の報告書が自閉症とワクチンの関連性を検証してきた。これらの検証は一貫して、乳幼児のワクチン(三種混合(DTaP)、肝炎HepB、Hib、不活化ポリオ(IPV)、肺炎球菌)が自閉症を引き起こさないという特定の主張を支持する研究は依然として存在せず、CDCが「ワクチンは自閉症を引き起こさない」と主張したことはデータ品質法(DQA)違反であったと結論づけている。CDCは現在この声明を修正中であり、米国保健福祉省は乳児用ワクチンと自閉症に関する研究に対し適切な資金提供と支援を行っている。

以下は、1986年に議会が百日咳ワクチンと自閉症に関して発出した指令に関連する主要な経緯と調査結果の概要である。

1991年 - 米国医学研究所(Institute of Medicine)【主な知見】 「3種混合ワクチン(DPT)または百日咳の成分と自閉症との関連性を示すデータは確認されなかった。生物学的メカニズムの可能性を示す実験データは存在しない。」*1
2012年 - 米国医学研究所(Institute of Medicine)【主な知見】 「3種混合ワクチン(DTaP)と自閉症の因果関係を肯定または否定するには証拠が不十分である。」*2

• 注)米国医学研究所が3種混合ワクチン(DTaP)と自閉症に関して特定した唯一の研究は関連性を示したが、米国医学研究所はCDCの受動的監視システム(HHS VAERS)からのデータを提供し、未接種対照群を欠いていたためこれを却下した。
2014年 - 米国保健福祉省 医療研究品質局 (HHS Agency for Healthcare Research and Quality)主な知見:定期小児ワクチン安全性を調査した研究の包括的レビューは、3種混合ワクチン(DTaP)と自閉症の因果関係を肯定・否定する証拠は存在しないと結論付けた。*3
2021年 - 米国保健福祉省 医療研究品質局 (HHS Agency for Healthcare Research and Quality)【主な知見】 自閉症とそれぞれのワクチン(DTaP/Tdap/Td)との関連性を示す証拠が不十分であるという2012年米国医学研究所の報告書および2014年米国医療研究品質庁の報告書(米国医学研究所の報告書に基づく)の結論は変更されなかった。2021年の更新では新たな研究は確認されず、これらのワクチンと自閉症の因果関係を支持または否定する科学的証拠は依然として不十分である。*4
*1. National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine. 1991. Adverse Effects of Pertussis and Rubella Vaccines. Washington, DC: The National Academies Press. https://doi.org/10.17226/1815. P. 151-152.
*2. National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine. 2012. Adverse Effects of Vaccines: Evidence and Causality. Washington, DC: The National Academies Press. https://doi.org/10.17226/13164. P. 545-546
*3. Maglione, M. A., Gidengil, C., Das, L., Raaen, L., Smith, A., Chari, R., Newberry, S., Hempel, S., Shanman, R., Perry, T., & Goetz, M. B. (2014). Safety of Vaccines Used for Routine Immunization in the United States. Evidence report/technology assessment, (215), 1–740. https://doi.org/10.23970/AHRQEPCERTA215. P. 133
*4. Gidengil, C., Goetz, M. B., Maglione, M., Newberry, S. J., Chen, P., O'Hollaren, K., Qureshi, N., Scholl, K., Ruelaz Maher, A., Akinniranye, O., Kim, T. M., Jimoh, O., Xenakis, L., Kong, W., Xu, Z., Hall, O., Larkin, J., Motala, A., & Hempel, S. (2021). Safety of Vaccines Used for Routine Immunization in the United States: An Update. Agency for Healthcare Research and Quality (US). https://doi.org/10.23970/AHRQEPCCER244. P. 85-87; 103-104

特筆すべきは、2014年の米国医療研究品質庁の調査がB型肝炎ワクチンと自閉症についても言及している点である。信頼性の基準を満たした横断研究1件では、生後1ヵ月以内にB型肝炎ワクチンを接種した新生児において、未接種児または生後1ヵ月以降に接種した場合と比較し、親による自閉症報告リスクが3倍高いことが示された。本研究を精査した結果、米国医療研究品質庁はB型肝炎ワクチンと自閉症の関連性を示す証拠は不十分であると結論付けた

実際に、生後1年までに米国で推奨される7種類の乳幼児のワクチン接種(合計20回)のいずれかが自閉症を引き起こさないとする主張を支持する研究は、依然として存在しない。これらには3種混合ワクチン(DTaP)、B型肝炎、Hib、IPV、PCV、ロタウイルス、インフルエンザのワクチンが含まれる。

科学的根拠の現状:MMRワクチン

MMRワクチンについては、自閉症に関する研究が実施されて米国医学研究所および米国医療研究品質庁の調査では、観察による証拠のみに基づき自閉症スペクトラムとの関連性はないという結論が下された。

しかし2012年、米国医学研究所は公表されたMMRワクチンと自閉症の関連性を調査した研究を再検証し、4件を除く全てに「重大な方法論的限界」があると発表し、これらの研究を全く評価しなかった。残る4件の研究とその後発表された類似研究も、いずれも重大な方法論的欠陥があるという理由で批判されている。さらに、これらはすべて因果関係を証明できない回顧的疫学研究であり、脆弱な可能性のあるサブグループを考慮しておらず、ワクチンと自閉症を結びつけるメカニズム的証拠やその他の証拠も考慮していない。

2002年のデンマーク人を対象としたNew England Journal of Medicine誌の研究など、利用された多くの回顧的研究は、米国人には信頼性が低い可能性がある。これら研究の対象児は、米国とは異なる国の予防接種スケジュールに基づいてワクチンを接種している。小児予防接種スケジュールに関して2013年の米国医学研究所の報告書が指摘するように、「異なるワクチン接種スケジュールの安全性を評価する比較研究はほとんど存在しない」、しかし「有害事象のリスクは利用する接種スケジュールに依存するケースがあり、タイミングやアジュバントなどの要因は適切な研究デザイン方法で検討されるべきである」。

例えば、MMRワクチンにはアルミニウムは含まれていない。しかし、他の乳幼児のワクチンには1回あたり0.25mg~0.625mg範囲のアルミニウムが含まれている(DTaPワクチンの含有量が最も高い)。ある分析では、2019年のCDCのワクチン接種スケジュールでは、生後18ヵ月までにワクチン関連のアルミニウム総曝露量が4.925mgに達することが示された。米国では、ワクチン由来アルミニウム曝露と持続性喘息の間に関連性があることが示されている。大規模なデンマークのコホート研究では、幼児期におけるアルミニウム吸着ワクチンの曝露と神経発達障害リスクの増加は認められなかったが、補足表の詳細な検討では、中程度のアルミニウム曝露に伴う神経発達障害の発生率の上昇が示唆され(補足図11—ただし用量反応は明らかでなかった)、2007~2018年生まれの子供においてはアルミニウム曝露量1mg増加ごとにアスペルガー症候群リスクが統計的に有意に67%増加する(補足図4)。これらの知見を総合すると、自閉症を含む様々な小児慢性疾患に対するアルミニウム曝露(高・低・無曝露)のさらなる調査が必要である。

米国保健福祉省(HHS)によるワクチンと自閉症の間の妥当な生物学的メカニズムに関する研究

米国保健福祉省(HHS)は、小児期のワクチン接種と自閉症の間の妥当な生物学的メカニズムを評価する。さらに調査すべきメカニズムには、アルミニウムアジュバントの影響、ミトコンドリア病を有する特定の子供へのリスク、神経炎症の有害性などが含まれる。

「ワクチンは自閉症を引き起こさない」という見出しは、米国上院保健・教育・労働・年金委員会委員長との合意に基づき、CDCウェブサイト上に残すこととなったため削除されていません。

  • 監訳 太田 真弓(精神科・児童精神科/クリニックおおた 院長)
  • 翻訳担当者 平 千鶴
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  • 原文掲載日 2025/11/19

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