【ASCO26】ガレリ検査が、がんを早期に検出し、ステージIVでの診断を減らす可能性
ASCOの見解(引用)
「英国NHSーGalleri試験の結果は、腫瘍のダウンステージング(手術前に腫瘍の大きさと数を抑える治療)においていくつかの有望な結果を示しているものの、本試験では、あらかじめ定義された主要評価項目において進行期がんが統計的に減少したわけではないことを認識しておくことが重要です。とはいえ、これらの知見は、卵巣がんや膵臓がんなど、現在、検診の選択肢がない致死的な悪性腫瘍に対して、依然として真の希望をもたらすものです。米国PEACH試験の長期的な追跡調査および切望された試験結果が、多がん種早期検出(MCED)検査の集団レベルでのベネフィット・リスク評価を十分に行うために必要な、極めて重要な追加情報を提供してくれるでしょう」とASCO副会長および最高医学責任者であるJulie R. Gralow医師(FACP:米国内科学会フェロー、FASCO:ASCOフェロー)は述べた。
試験概要
| 焦点 | がんの症状のない50才~77才の人を対象とした多がん種早期検出検査 |
| 対象者 | 英国在住でがんの症状のない142,942人 |
| 主な結果 | Galleri検査(*血液で検査するリキッドバイオプシー)を毎年実施することで、がんが発見される病期を、ステージIVでの発見が減る可能性があるが、この検査を検診ガイドラインに組み込むには、さらなる追跡調査が必要である。 |
| 意義 | ●医療制度が整備された国々では、公衆衛生ガイドラインにおいて通常、子宮頸がん、乳がん、大腸がん、場合によっては肺がんや前立腺がんなど、3~5種類のがんに対する定期的な検診が推奨されている。しかし、がんの種類は100種類以上にのぼる。 ●多がん種早期検出(MCED)検査は、血液検査、すなわち液体生検であり、多くの異なる種類のがんを、症状が現れる前に検出するように設計されている。先行研究では、Galleri MCED検査が50種類以上のがんの存在を検出できることが示されている。この検査は、早期または進行の遅いがんよりも、進行期や悪性度の高いがんの検出に優れている。 ●一般的に、がんがステージI、II、またはIIIで診断される場合よりも、ステージIVで診断された場合の方が生存率は低くなる。多くの早期がんに対する有効な治療選択肢が増えていることを踏まえると、ステージIVの診断を減らすことが、治療および生存の転帰にとって最も重要である可能性がある。 |
多がん種早期検出(MCED)検査に関する初のランダム化比較試験の結果は、血液サンプルを用いた年1回の検査により、がんが発見される病期を早めることができる可能性を示唆している。NHSーGalleri試験は、主要評価項目である「進行期(III期またはIV期)で発見されるがんの数の減少」を達成できなかったものの、3年間のGalleri検診により、IV期で発見されるがんの数が減少したことが結果から示された。Galleri群(Galleri検査を受けたグループ)ではまた、自覚症状が出てから臨床的に発見されたがんも少なかった。救急搬送などで見つかるがんは、検診で発見されるがんに比べて進行しており、治療が困難である傾向にある。本研究は、2026年5月29日から6月2日までシカゴで開催される米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会で発表される。
試験について
「本試験は、多がん種早期検出検査に関する初のランダム化比較試験として結果が報告されたものであり、参加者および英国の国民保健サービス(NHS)にとって極めて重要な成果を示しています。本試験は、全国的な医療制度の中で、多がん種早期検出検査を大規模に毎年実施することが可能であり、現在組織的なプログラムが存在しない多くの種類を含め、検診によって発見されるがんの数を増やすことができることを実証しています」と本研究の筆頭著者であるCharles Swanton医学博士(英国ロンドンのフランシス・クリック研究所およびユニバーシティ・カレッジ・ロンドンがん研究所)は述べた。
Galleri検査は、血中遊離DNA(cfDNA)と呼ばれる血液中に循環するDNA断片を分析し、がん細胞の存在を示すDNA変異パターンを探す。NHSーGalleri検査は、標準的ながん検診にGalleri検査を3年間追加することで、あらかじめ指定された、12種類のがんが発見される病期を早め、ステージIIIおよびIVで診断されるがんの数を減らし、ステージIおよびIIで診断される数を増やすことができるかを検証することを目的としていた。
本試験には、がんの症状のない英国の142,942人が参加した。参加者の年齢は、50才から77才で、半数が女性であった。人種別では、約93%が白人、3%がアジア系、それぞれ約1%が黒人、混血、その他と自己申告した。約23%が社会経済的に最も恵まれないグループに分類され、約16%が恵まれているグループに分類された。
全参加者は3年間にわたり年1回採血を受け、推奨されるがん検診を受けた。参加者は2つのグループに無作為に割り振られた。
●半数はGalleri群に割り当てられ、その血液サンプルはGalleri検査を用いて検査された。
●残りの半数は対照群となり、血液はGalleri検査の対象とはならなかった。
Galleri検査で陽性となった参加者は、診断確定のために一連の検査を受けるため、医師の診察を継続・受診した。また、対照群においても、がんに関連する症状が現れた参加者は、同様に診断確定のために医師の診察を継続・受診した。
主な知見
●全がん種を通じて、Galleri群では3,637件、対照群では3,400件のがんが診断された。Galleri群では、推奨される検診のみを受けた群と比較して、Galleri検査によって4倍多くのがんが発見された(1,173件対290件)。
●事前に指定された12種類のがんにおいて、ステージIIIまたはIVの診断数の減少は有意ではなかった。しかし、検査期間中、対照群と比較してGalleri群では、以下のがんの診断状況に変化が見られた。
○ステージIVの診断が14%減少
○ステージI、II、またはIIIの診断が19%増加。
○これらのデータを解釈する際、事前に指定された12種類のがんには、早期段階で
がんを発見できる定期的な検診が存在する乳がんや子宮頸がんが
含まれていなかった点に留意することが重要である。
●本検査で発見されたすべてのがんが将来的に症状を呈するかどうか、あるいはGalleri検査による早期診断が実際に生存率を改善するかどうかは不明である。
●さらに、全がん種を通じて、Galleri群では対照群と比較して、臨床的に(検診以外で)発見された症例が21%少なく、救急受診として発見された症例が20%少なかった。
●Galleri検査の特異度は99.55%、陽性予測度は52%であった。感度および陰性予測度は報告されていない。
●本検査はがんの原発部位を予測する。原発部位の予測精度は、検査結果が1カ所を示した場合はがん患者の87%、最も可能性の高い2カ所を示した場合は92.5%であった。
採血による重篤な有害事象は認められなかったが、一部に内出血などの軽微な問題が見られた。その他の影響としては、陽性結果に対する一時的な不安や、追跡検査の負担などが挙げられた。
次のステップ
本試験は追跡期間を延長して継続され、ステージIVの診断数の減少が時間の経過とともにさらに改善するか、またGalleri検査が生存期間を延長するかどうかが検証される。また、がん検出のための定期的なMCED検査の費用対効果を評価する研究も行われる予定である。
NHSーGalleri試験は、Grail Inc.社の資金提供を受けて実施された。
- 記事担当 山口みどり
- 監修 高濱隆幸 (腫瘍内科・呼吸器内科/近畿大学病院 ゲノム医療センター)
- 原文を見る
- 原文掲載日 2026/05/30
【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。
がん検診に関連する記事
肺がんの新たな局面:喫煙歴のない若年女性
2025年11月6日
自己採取HPV検査はアジア系米国人女性の子宮頸がん検診受診率を向上
2025年10月24日
5種のがんで予防と検診が救命に大きく寄与
2024年12月14日
大腸がん検診におけるシールド・リキッドバイオプシーの位置づけは?
2024年11月6日
シールド(Shield)と呼ばれるこの検査は、血液中に浮遊するD...




