【ASCO26】脳転移にタイル型脳組織内照射が定位放射線の治療効果を上回る

【ASCO26】脳転移にタイル型脳組織内照射が定位放射線の治療効果を上回る

ASCOの見解(引用)

「脳転移を外科的に切除した後、切除腔およびその周辺に放射線を照射すると(多くの場合は体外から照射)、局所再発のリスクを大幅に低下させることが知られています。今回の結果は、手術時に切除腔の縁へ埋め込んだ放射線放出型GammaTile(ガンマタイル)が、局所再発のリスクを有意かつ大幅に低下させ、再発までの期間を延長したことを示しました。このアプローチの有効性が今後も実証されれば、GammaTileはこの適応において、切除腔に対する定位放射線治療に取って代わる可能性が高いでしょう」
ー David Schiff医師、バージニア大学医学部神経内科・脳神経外科・内科学ハリソン特別卓越教授、ASCO中枢神経系腫瘍専門家

試験概要

焦点外科的切除後の大きな脳転移に対する2種類の放射線治療を直接比較
対象者米国の204人
主な結果タイル型脳組織内照射療法は、標準治療である定位放射線治療と比較して、脳転移の再発を遅らせ、生存期間を延長した。
意義• 米国では毎年、約7万件以上の脳転移が確認されている。
• 大型の脳転移に対する一般的な治療は、まず外科的切除を行い、その2~4週間後に放射線治療、通常は定位放射線治療を実施する。しかし、これまでの研究では、手術から放射線治療までの期間が長くなるほど、腫瘍が再発する可能性が高くなることが示されている。脳転移切除後に定位放射線治療を受けた患者の25%超で、1年以内に再発がみられる。
• その代替手段がタイル型脳組織内照射療法で、放射性同位元素セシウム131を封入した微小カプセルを含む小型で柔軟なコラーゲンタイルを、手術直後に腫瘍部位へ埋め込む。
• このタイルは、脳原発腫瘍および脳転移腫瘍の術後治療として米国食品医薬品局(FDA)の承認を受けており、米国内150以上の医療施設で使用されている。

脳転移に対するタイル型脳組織内照射療法と標準的な体外照射治療を直接比較した初の臨床試験において、手術直後に放射線治療を開始することにより、治療成績を改善することが示された。タイル型脳組織内照射療法は、治療に関連する健康上の問題を有意に増加させることなく、再発までの期間を延長した。さらに全生存期間も改善されたが、おそらくこれは全身療法を早期に再開できたことが要因として考えられると、著者らは示唆している。本研究結果は、2026年米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会(5月29日〜6月2日、シカゴ)で発表された。

試験について

「本研究は、手術および定位放射線治療で治療した脳転移の、局所制御を改善する治療選択肢を特定するために設計されました。 現在、腫瘍切除術を受けた患者さんには、治療上の根本的な課題が存在しています。手術後、放射線治療が数週間遅れるため、局所制御が悪化するだけでなく、全身療法の開始も遅れてしまうのです。患者さんには、より良好な治療成績をもたらし、実施面でも容易な、より良い選択肢が必要でした」と、本研究の筆頭著者であるテキサス大学MDアンダーソンがんセンター(テキサス州ヒューストン)のJeffrey S. Weinberg医師は述べた。

米国では、脳腫瘍や脳転移の治療に、タイル型脳組織内照射療法と定位放射線治療の両方が用いられている。第3相ROADS試験は、これら2つの治療法を直接比較することを目的とし、特に手術部位の腫瘍再発と全生存期間に注目した。この試験には、直径2~7センチメートルの新たな脳転移があり、手術による切除が必要な204人の参加者が含まれた。手術前に、230人の参加者が2つのグループ(各115人)に無作為に割り付けられた。しかし、手術を受けなかった参加者や本試験の対象外となった参加者もおり、最終的に204人の参加者が残った:
• 103人は、手術直後にタイル型脳組織内照射療法を受ける群(タイル群)に割り当てられた。
• 101人は、手術から2~4週間後に定位放射線治療(SRT)を受ける群(対照群)に割り当てられた。最終的に、18人の参加者はSRTを受けなかった。この18人は最終的な解析には含めなかったが、これが統計的な結果に影響を及ぼさなかった点に留意することが重要である。

主な知見

追跡期間中央値12.9カ月時点の解析では、以下の結果が示された:

• 定位放射線治療(対照群)と比較して、タイル型脳組織内照射療法(タイル群)では、手術部位での脳転移の再発(手術部位再発、SBR)のリスクが94%減少した。対照群では12%の患者にSBRが認められたが、タイル群ではその割合は1%にまで低下した。
• 対照群におけるSBRまでの中央値は17.4カ月であった。しかし、タイル群では参加者の半数以上で腫瘍部位の増大が認められなかったため、SBRまでの中央値を算出することはできなかった。
• 対照群における手術部位無再発生存期間の中央値は10.9カ月であった。対照的に、タイル群のほとんどの患者は腫瘍の再増殖なく生存していたため、中央値は算出されなかった。
• タイル型脳組織内照射療法は全生存期間を改善し、死亡リスクを41%低減させた。研究者らはタイル型脳組織内照射療法を受けた参加者の61.7%が診断後2年後も生存していると推定しており、対照群の35.7%と比較して高い数値となっている。

重篤な有害事象の発生率は両群で同程度であり、グレード3以上の有害事象は、タイル群で18.1%、対照群で19.3%に認められた。軟髄膜病変および放射線壊死の発生率については、両群間で有意な差は認められなかった。

次のステップ

研究者らは、治療が思考、記憶、注意力といった精神機能にどのような影響を与えるか、また他のがん治療がこれらの治療の効果にどのような影響を及ぼすかなど、さらなる知見を得るためにデータの分析を継続する予定である。別の臨床試験(BRIDGES)では、膠芽腫と呼ばれる脳腫瘍の治療におけるタイル型脳組織内照射療法について検討が進められている。

本研究の資金は、GT Medical Technologies Inc.から提供された。

  • 記事担当 平沢沙枝
  • 監修 夏目敦至 (脳神経外科/一宮西病院 脳神経外科・脳腫瘍センター長)
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  • 原文掲載日 2026/05/30

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