進行した乳癌患者にハーセプチンの継続が有益

キャンサーコンサルタンツ
2009年4月

ハーセプチン投薬中に癌が進行した転移性乳癌患者にハーセプチンの継続が有益であるとヨーロッパの研究者が発表した。この試験の詳細はJournal of Clinical Oncology誌2009年4月20日号で発表された。

HER2陽性乳癌患者の治療にハーセプチンは重要な薬剤である。しかし、多くのHER2陽性転移性乳癌患者がハーセプチン投薬中もしくは投薬後に進行する。癌が進行してからのハーセプチン継続の有益性については未解明である。

この疑問を解明するために、ハーセプチン投薬中に癌が進行した転移性乳癌患者をゼローダ+ハーセプチンによるサルベージ療法かゼローダ単独のサルベージ療法かに無作為に割り当てた多施設試験に研究者は参加した。追跡調査の平均期間は16カ月であった。以下の表は本ランダム化試験の主要な知見の要約である。

表1:転移性乳癌におけるゼローダ対ゼローダ+ハーセプチン

 ゼローダゼローダ+ハーセプチン
患者数7878
奏効率27%48.1%
死亡数3833
進行までの中央値5.6カ月8.2カ月
生存期間の中央値20.4カ月25.5カ月

毒性は両群において同程度であった。

コメント: これらのデータから、ハーセプチン投薬中に進行した転移性乳癌患者におけるハーセプチン継続の効果は明瞭である。


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翻訳担当者 下和田 篤子

監修 原 文堅 (乳腺科/四国がんセンター)

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