乳がんと胃がんへのHerzuma承認をEMAが推奨

Herzumaは、基準品ハーセプチン(トラスツズマブ)に極めて類似したバイオシミラー医薬品

2017年12月14日、欧州医薬品庁(EMA)欧州医薬品委員会(CHMP)は、乳がんおよび胃がん治療を目的とした医薬品Herzumaの販売認可を与えることを推奨する承認勧告を行った。

本医薬品の申請者は、Celltrion Healthcare Hungary Kft社である。

Herzumaは150mgの点滴溶液用濃縮粉末として販売される予定だ。Herzumaの活性物質はモノクロナール抗体トラスツズマブ(ATCコード:L01XC03)で、高い親和性と特異性でHER2と結合する。その結果、HER2を過剰発現する腫瘍細胞の増殖が抑制される。

Herzumaはバイオシミラー医薬品で、2000年8月28日にEUで認可された基準品ハーセプチン(トラスツズマブ)に極めて類似している。データによると、品質、安全性、有効性においてハーセプチンと同等である。

全適応症は次の通り:

転移性乳がん

HerzumaはHER2陽性転移性乳がん(MBC)の成人患者の治療として、次の条件で適応される。

・転移性疾患の化学療法レジメンを少なくとも2種類受けたことのある患者への単独療法。過去の化学療法には少なくともアントラサイクリンとタキサンを含まなければならないが、患者がこれらの治療に適さない場合を除く。ホルモン受容体陽性患者についてはホルモン療法も不成功だった場合に限るが、患者がこれらの治療に適さない場合を除く。

・転移性疾患の化学療法を受けたことがなく、アントラサイクリンが適さない患者への、パクリタキセルとの併用治療

・転移性疾患の化学療法を受けたことがない患者への、ドセタキセルとの併用治療

・ホルモン受容体陽性MBCの閉経後の患者で、過去にトラスツズマブの治療を受けたことがない患者への、アロマターゼ阻害薬との併用治療

早期乳がん

HerzumaはHER2陽性早期乳がん(EBC)の成人患者の治療として、次の条件で適応される。

・手術後、化学療法後(ネオアジュバントまたはアジュバント)、放射線治療後(該当する場合)

・ドキソルビシンとシクロホスファミドのアジュバント化学療法後で、パクリタキセルまたはドセタキセルとの併用

・ドセタキセルとカルボプラチンで構成されたアジュバント化学療法との併用

・ネオアジュバントでの化学療法との併用と、アジュバントでのHerzuma療法。局所進行疾患(炎症疾患を含む)または腫瘍の直径が2cmを超える場合

Herzumaは、HER2過剰発現またはHER2遺伝子増幅の腫瘍を有する進行性または早期乳がん患者にのみ使用されるべきで、正確な検証試験により断定されなければならない。

転移性胃がん

Herzuma+カペシタビンまたは5-フルオロウラシル+シスプラチンの併用は、HER2陽性進行性胃腺がんまたは食道胃接合部腺がんの成人患者で、過去に転移性疾患の抗がん治療を受けたことがない患者に適応される。

HerzumaはHER2過剰発現の腫瘍を有する転移性胃がん(MGC)の患者にのみ使用されるべきで、IHC2+と確証的SISHまたはFISHの結果、またはIHC3+の結果により断定されなければならない。正確な検証試験法を使用しなければならない。

Herzumaは、細胞毒性を有する化学療法の実施経験がある医師のみが開始するべきであり、医療従事者によってのみ投与されるべきであると提示されている。

本製品の使用に関する推奨事項の詳細は、製品概要に記載される予定である。この製品概要は、欧州委員会から販売認可が与えられ次第、公開医薬品審査報告書に公開され、すべてのEU公用語で利用可能になる。

肯定的意見の要約は、委員会決定に影響を与えることなく公開される。通常、意見採択から67日後に発行される。

翻訳担当者  田中深代

監修  野長瀬祥兼(腫瘍内科/近畿大学医学部附属病院)

原文を見る

原文掲載日 

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

乳がんに関連する記事

乳がんは周りの感覚神経を利用して広がる可能性の画像

乳がんは周りの感覚神経を利用して広がる可能性

身体には、触覚、痛覚、温度覚などの感覚を神経系に伝える感覚神経がぎっしり詰まっている。これらの神経は、あらゆる臓器や多くの腫瘍の組織を通って絡み合っている。そして新たな研究によれば、乳...
BRCA関連乳がんにおける乳房温存療法の長期的有効性の画像

BRCA関連乳がんにおける乳房温存療法の長期的有効性

MDアンダーソンがんセンターBRCA関連乳がん患者の場合、将来の乳がんリスクを軽減するために両側乳房切除術が選択されることが多い。しかし、関連するリスクを受け入れながら乳房温存療法(B...
早期HER2陽性乳がんの再発予防に抗体薬物複合体トラスツズマブ エムタンシン(T-DM1)が極めて有効の画像

早期HER2陽性乳がんの再発予防に抗体薬物複合体トラスツズマブ エムタンシン(T-DM1)が極めて有効

ステージ1のHER2陽性乳がん患者において、抗体と化学療法薬で構成される薬剤での1年間の治療は、再発予防に非常に効果的であることが、ダナファーバーがん研究所が主導する研究チームにより証...
ASCO2024:ダナファーバーがん研究所の発表(リンパ腫、乳がん、脳腫瘍)の画像

ASCO2024:ダナファーバーがん研究所の発表(リンパ腫、乳がん、脳腫瘍)

米国臨床腫瘍学会(ASCO2024)年次総会で発表された研究結果
ダナファーバーがん研究所の研究者らは、中枢神経系(CNS)リンパ腫、乳がん、神経膠芽腫の患者の治療において有望な結果をも...