早期乳がんへの短期術前パルボシクリブが、がん増殖を抑制

早期乳がんへの短期術前パルボシクリブが、がん増殖を抑制

POPランダム化試験の結果

早期乳がん患者に対する短期的術前palbociclib[パルボシクリブ]治療によって、Ki67が有意に減少した。この作用は、分子タイプに依存するとともにpRBの変化と相関しており、パルボシクリブ活性が、がん細胞増殖に対する短期的な作用の主な決定因子である可能性を示唆している。術前パルボシクリブ(POP)ランダム化第2相試験の結果は、2016年米国がん学会(AACR)年次総会(4月16~20日、アメリカ、ニュー・オーリンズ)にて、乳がんを対象とした最新の臨床試験のプレナリーセッションで発表された。

フランスのヴィルジュイフにあるInstitut Gustave Roussyの試験責任医師らは、短期的術前パルボシクリブが、早期乳がん患者におけるがん細胞増殖の減少および早期バイオマーカーの変化に関連しているかどうかを特定することを、本研究の目的とした。未治療の患者を、手術前日まで2週間毎日経口パルボシクリブ125mgの投与を受ける患者と、治療を受けない患者とに、3:1でランダムに割り付けた。

ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)と冷凍サンプルはベースライン時および手術時に抽出された。

主要目的はKi67発現と定義される抗増殖反応であった。Ki67、RB、pRB、p16、pAKTおよびpERの免疫染色、CCND1に対する蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)、および遺伝子発現アレイが治療前と治療後に実施された。PIK3CAとAKT1の変異は、治療前に評価された。

全体で、74人の患者がパルボシクリブ群、26人が対照群としてランダムに割り付けられた。さらに、93%の腫瘍はホルモン受容体(HR)陽性で8%はHER2陽性であった。

パルボシクリブ治療は、対照群と比較して有意に多くの患者に抗増殖反応をもたらした(58%対10%、P=0.0003)。また、ベースラインからのKi67の平均減少率は、パルボシクリブ群における15日目が有意に高かった(P<0.0001)。HR陽性/HER2陰性腫瘍の患者においては、72%の患者がパルボシクリブによってKi67が減少したのに対し、対照群では5%だった。トリプルネガティブ乳がんやHER2陽性腫瘍では、Ki67反応は確認されなかった(相互作用試験、P=0.0038)。

パルボシクリブによってpRBは対照群より有意に減少した(P=0.0027、共分散分析モデル)。ベースライン時のRB(相互作用試験、P=0.36)、pRB(P=0.89)およびp16 (P=0.13)では、Ki67に対するパルボシクリブ作用は予測されなかった。Ki67におけるパルボシクリブ作用は、ベースラインからのpRBの変化と相関した(スピアマン順位相関 R=0.42、P<0.0001)。抄録提出時には、CCND1増幅、遺伝子発現、pAKT、pER、PIK3CAおよびAKT1分析の面で、追加解析が実施されていた。

本研究結果を裏づけるためにさらなる調査が必要となるが、結果は有望である。

本研究は、Pfizer Inc.社と乳がん研究基金(Breast Cancer Research Foundation)の資金援助を受けた。

サイクリン依存性キナーゼ(CDK)4および6の抑制薬であるパルボシクリブは、エストロゲン受容体陽性かつHER2陰性の転移性乳がんを患う閉経後の女性に対する治療のため、レトロゾールとの併用で2015年2月に米国食品医薬品局(FDA)に承認された。

米国がん学会(AACR)年次総会の今年のテーマは「がん科学による治療提供」で、研究と患者ケアの進歩との切り離すことのできないつながりを強化するものであった。

翻訳担当者 田中深代

監修 勝俣範之(腫瘍内科、乳がん・婦人科がん/日本医科大学武蔵小杉病院)

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