【SABCS25】一部の乳がん患者でセンチネルリンパ節生検を省略できる可能性

【SABCS25】一部の乳がん患者でセンチネルリンパ節生検を省略できる可能性

センチネルリンパ節生検を省略しても、5年再発率に変化なし

臨床的にリンパ節陰性、ホルモン受容体(HR)陽性、HER2陰性である早期乳がん患者においてセンチネルリンパ節生検(SLNB)を省略しても、中央値5年の追跡調査後の局所制御や生存率に影響はなかった。このBOOG 2013-08第3相臨床試験の結果は、2025年12月9日から12日に開催されたサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS)で発表された。

「過去20年間で、乳がん治療は腫瘍学的安全性を維持しつつ侵襲性を最小限に抑える方向へ移行してきた」と、本研究の発表者Marjolein Smidt医学博士(オランダ、マーストリヒト大学医療センター教授)は述べた。原発腫瘍に最も近いリンパ節を外科的に切除・分析するセンチネルリンパ節生検(SLNB)は、早期乳がんにおける腋窩リンパ節転移の評価法として推奨されている。しかし、リンパ節に転移が認められなかった患者においては、SLNBの目的は主に予後情報を提供することであり、全身治療方針の変更につながることは稀であるという証拠が蓄積されていると、Smidt医師は付け加えた。

「リンパ節を外科的に切除することで傷跡が残ったり不快感を覚えることがあるのに加えて、SLNBを受ける患者にはリンパ浮腫(リンパ液の滞留による腫脹)のような長期的副作用のリスクもあり、リンパ浮腫は理学療法が必要となることが多い」とSmidt医師は言う。同医師の説明によると、BOOG 2013-08試験は、臨床的にリンパ節陰性の患者が乳房温存療法を受ける際にSLNBを省略することが安全かどうかを検証するために設計された。

本研究では、腫瘍サイズ5cm以下の早期乳がん患者1,733人を対象とした。対象患者は、身体診察、術前超音波検査、および必要に応じて実施した組織学的検査に基づき、リンパ節に転移が認められないと判断された患者である。患者全員は2015年から2022年にかけてオランダ国内25施設において乳房温存手術と放射線治療を受けた。患者は腋窩リンパ節生検(SLNB)療法を実施する群と実施しない群に無作為に割り付けられた。

中央値5年間の追跡調査データに基づき、評価可能な1,574人(うち749人がSLNB群、残りがSLNB省略群)において、原発腫瘍周囲リンパ節へのがん再発率はSLNB群で0.5%、SLNB省略群で1.2%であり、この差は統計学的に有意ではなかった。

5年局所無再発生存率(原発腫瘍からより遠隔のリンパ節へのがん転移の徴候なく生存している患者の指標)の中央値も、両群間で有意差は認められなかった。SLNB群で96.6%、SLNB省略群では94.2%であった。

「本研究は、特に早期段階のHR陽性・HER陰性乳がん患者において、センチネルリンパ節生検を安全に省略できる可能性を示している。本試験対象集団の腫瘍の86.6%がこのタイプであったためである」とSmidt医師は述べた。

HR陽性腫瘍患者において、補助ホルモン療法は48.6%(SLNB群)および46.6%(SLNB省略群)に投与された。「ホルモン療法は女性の生活の質に大きな影響を与える可能性があるため、投与前には慎重な検討が必要である」とSmidt医師は指摘する。「SLNB省略に関する他の類似研究と比較してホルモン療法の処方頻度は低かったものの、本研究では現時点で再発リスクは依然として低かった。とはいえ、遅発性再発が知られていることから、この患者群には注意深い経過観察が必要である」と同医師は続けた。

「患者への良好な影響に加え、SLNBの省略は費用対効果が高く、患者ケア期間の短縮につながり、合併症を回避できる。これにより、患者報告アウトカムの改善と全体的な回復の円滑化が期待できる」。

本研究の限界として、全参加者の5年間の追跡調査が不完全であること、およびPPS解析[プロトコル(研究計画書)通りに治療が⾏われた症例のみで解析]に依存していることが挙げられる。これは、試験開始当時、乳房温存手術後の標準治療が乳房全体照射であったためだと、Smidt医師は説明した。「現在の放射線治療には部分乳房照射など異なるプロトコルが存在する。本試験のデータでは、他の放射線プロトコル施行時のSLNB省略の安全性を証明できないが、将来的に結果を推論することは可能である」。

Smidt医師によると、この結果は主に、サイズが2cm以下のHR陽性・HER2陰性の早期段階の腫瘍に適用される。それより大きい腫瘍や他の乳がんサブタイプの患者は、本試験では評価対象とされなかった。

*本研究の開示情報については、原文を参照のこと。

  • 監修 小坂泰二郎(乳腺外科/JA長野厚生連 佐久総合病院 佐久医療センター)
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  • 原文掲載日 2025/12/11

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