検診で見つけにくい乳がん’小葉がん’をAI利用で予測しやすく

検診で見つけにくい乳がん’小葉がん’をAI利用で予測しやすく

アメリカで診断される乳がんの10人に1人を占める小葉がんは、悪性度が高く発見が難しいがんであるが、この小葉がんを発症する患者を人工知能(AI)で予測する新しい方法が開発されつつある。オハイオ州立大学総合がんセンターのアーサー・G・ジェームズがん病院およびリチャード・J・ソロブ研究所(OSUCCC–James)が新たな研究として進めている。

乳がんは女性で多くみられるがんであり、アメリカではがんによる死亡原因の第2位である。浸潤性小葉がんは乳がん全体の約15%を占める。このがんは細胞が塊ではなく鎖状に増殖するため、マンモグラフィ検査では乳房のわずかな厚みとしてしか現れないことが多い。そのため、早期の徴候は見逃されやすく、他の臓器に転移してから発見されることも少なくない。

「小葉がんは、目に見えにくい形で広がり、悪性度が高く、初期治療から何年も経って再発することもあります。再発が遅く起きた場合や、もともとリスクの高い患者では、生存率が低くなりがちです」と、同研究所で小葉がんの治療を専門とする乳がん腫瘍内科医のArya Roy医師は述べる。

浸潤性小葉がんと、より多くみられる浸潤性乳管がんは、増殖や転移の仕方、治療への反応が異なるにもかかわらず、腫瘍内科医は現在、両者に対して同じ治療ガイドラインに従っているとRoy氏は指摘する。

「小葉がんには複雑な特徴があります。臨床的には高リスクに見えても、組織検査から得られるゲノム解析では低リスクと判定される患者さんもいます。現在使われているゲノム検査は、小葉がんにおいては不明確または矛盾した結果を示すことが多いため、腫瘍内科医が最適な治療を決定するのが難しくなります。したがって、本当に高リスクの患者を正確に予測できる、小葉がんに特化したより優れたツールが早急に必要なのです」とRoy氏は述べた。

Roy氏は、AIを用いて腫瘍組織のデジタル画像と患者の健康データを解析する新しい研究を主導しており、この課題の解決を目指している。

この研究の目的は、がんが再発するかどうか、またはいつ再発するかを予測できる新たな画像ベースの「バイオマーカー」を発見することである。Roy氏は、これらの知見を組み合わせ、小葉がんの患者向けの明確で信頼性の高いリスク予測ツールが開発されれば、この疾患の早期発見と治療の両方が改善されるだろうと述べている

高濃度の乳腺と小葉がん

乳房画像診断学会によると、40歳以上の女性の約40%は高濃度の乳腺を有しており、あらゆる種類の乳がんの発見を困難にすることがある。これは、正常な乳腺組織もがん組織もマンモグラフィ上で白く映るのに対し、脂肪組織は暗く映るためである。このため、濃い乳腺組織はがんの初期徴候を覆い隠し、医師が発見するのが難しくなる。Roy氏は、高濃度の乳腺をもつ人は乳がんを発症するリスクが高いことを指摘している。

さらに、高濃度乳腺の場合、小葉がんの初期徴候をマンモグラフィで検出することが特に難しくなる。Roy氏は、女性が自身や家族の病歴を考慮したうえで、追加の画像検査が適切かどうかを主治医と相談するよう勧めている。乳房超音波検査やMRI検査は、異なる角度から乳腺を観察できるため、がんをより早期に発見できる可能性がある。

米国予防医学専門委員会(USPSTF)の乳がん検診ガイドラインによると、平均的なリスクの女性は40歳から74歳まで隔年でマンモグラフィー検査を受けることが推奨されている。

OSUCCC–Jamesにおける乳がんの検診、治療、研究に関する詳細は、cancer.osu.edu/breast を参照のこと。

  • 監修 石井一夫(計算機統計学/公立諏訪東京理科大学工学部情報応用工学科)
  • 記事担当者 平沢沙枝
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  • 原文掲載日 2025/09/30

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