非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)が肥満女性の乳癌再発率を低下させる可能性

非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)が肥満女性の乳癌再発率を低下させる可能性

アスピリンなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)を日頃から服用している過体重および肥満の女性では、ホルモン応答性乳癌の再発が半分に減少したという結果が、米国癌学会(AACR)のCancer Research誌に掲載された。

「今回の研究成果から、炎症に関係するシグナル伝達を抑え込むことが、肥満による癌のリスクを変化させたり、患者のホルモン療法への感受性を改善したりするための、有効かつ毒性の低いアプローチである可能性が示唆されます」と、テキサス大学オースティン校栄養科学科准教授のLinda A. deGraffenried博士は述べた。

肥満指数(BMI)が30以上で、エストロゲン受容体アルファ(ERα)陽性の乳癌患者において、アスピリンなどのNSAIDを服薬している場合には、再発率が52%低下し、再発の時期が28カ月遅れることが判明した。

「NSAIDがホルモン療法に対する感受性を改善している可能性があると考えられます。患者はホルモン療法をそのまま継続すればよく、化学療法へ移行したり、化学療法に伴う副作用および合併症に対処したりする必要はありません。しかしながら、今回の結果はまだ予備段階のものですので、新しい治療法を始めるには、必ず医師に相談してください」と、deGraffenried氏は続けた。

deGraffenried 氏と研究者らは肥満患者の血液を用いて、癌細胞、脂肪細胞、および炎症反応を促進する免疫細胞などから構成される腫瘍環境を試験管内において再現する実験を行った。その結果、肥満に関連する複数の因子が腫瘍環境においてシグナル伝達ネットワークを惹起し、腫瘍の増殖および抗癌剤に対する耐性を亢進させることが明らかになった。

「今回明らかになった、アスピリンなどのNSAIDの最大の利点は、炎症性疾患に対する効果にあります。その効果は肥満患者に限られたことではありません」と、deGraffenried 氏は説明した。

解析されたのは、浸潤性のERα陽性の乳癌患者で、テキサス州サンアントニオにあるテキサス大学健康科学センターおよびSTART Center for Cancer Careクリニックで1987年から2011年の間に治療を受けた440人のデータである。

そのうち58.5%は肥満、25.8%は過体重であった。約81%がアスピリンを、残りの人はそれ以外のNSAIDを服用していた。さらに、約42%はスタチンを、25%はオメガ3脂肪酸をそれぞれ服用していた。

アスピリンやその他のNSAIDによる抗炎症効果は、同様に抗炎症効果を示すスタチンやオメガ3脂肪酸の使用による影響を補正しても、明らかであった。

今回の研究は米国国防総省、米国連邦議会主導医学研究プログラム(CDMRP)の乳癌研究プログラム、および米国国立癌研究所(NCI)から研究資金の援助を受けた。deGraffenried氏は利益相反はないと申告している。

翻訳担当者 宮島郁子

監修 辻村信一 (獣医学・農学博士、メディカルライター/メディア総合研究所)

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