米国黒人女性では、乳がん検診推奨年齢50歳では遅い

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米国では、人種や民族に関係なく、米国民女性に50歳から隔年で乳がん検診を受けることを推奨している。しかし、新たな解析によると、黒人女性は42歳から検診を開始する必要があるとし、「人種・民族に適応した」アプローチを提案した。

米国の研究チームは、黒人女性の乳がんに関する危険性について新たな研究を発表した。年齢に基づく乳がん検診ガイドラインが、黒人女性にとって「危険」であることが示された。黒人女性は、他の人種に比べて早い年齢で乳がんで死亡するリスクが高いため、年齢に基づく検診ガイドラインだけでは不十分であるというのがその理由である。

研究チームによると、全人口に対して50歳から始めた場合、白人女性は51歳で乳がんのリスクが限界値に達しますが、黒人女性は42歳で、アメリカ先住民/アラスカ先住民やヒスパニック女性は57歳、アジア系/太平洋諸島系女性は61歳でそれに達する。米国予防医療専門委員会(USPSTF)は、40代の女性については、個別の判断により開始することを推奨しているが、研究チームは、人種や民族を考慮しない乳がん検診ガイドラインは、すでにリスクが高いグループにさらなる被害をもたらす可能性があると警告している。

著者らは、人種や民族に基づくガイドラインの導入が、パーソナライズされた公正な検診プログラムの実現につながる可能性があると述べている。
JAMA Network Open 2023 年 4 月 19 日オンライン公開 全文

(※英語サイトは自動翻訳機能を利用して日本語で読むことができます。)

追記)  5月9日、米国保健省の医療研究・品質評価機構(Agency for Healthcare Research and Quality)の諮問委員会である米国予防医療専門委員会(Preventive Services Task Force:USPSTF)は、乳がんマンモグラフィ検診の推奨年齢を40歳以上、隔年を推奨する新たなドラフトを作成し、パブリックコメントを募集中。

監修 下村 昭彦 (乳腺・腫瘍内科/国立国際医療研究センター乳腺腫瘍内科)
参考ニュース Medscape Oncology
原文掲載日 2023年4月19日

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