2007/05/29号◆注目の臨床試験「リンパ腫に対する標的治療」

2007/05/29号◆注目の臨床試験「リンパ腫に対する標的治療」

同号原文

NCI Cancer Bulletin2007年5月29日号(Volume 4 / Number 18)
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◇◆◇注目の臨床試験◇◆◇

リンパ腫に対する標的治療

臨床試験名

再燃、または治療に不応性になったT細胞、B細胞リンパ腫患者に対するABT-263の第1、2相臨床試験(NCI-07-C-0006)。 試験プロトコルの要旨は以下を参照のこと。
http://cancer.gov/clinicaltrials/NCI-07-C-0006

臨床試験責任医師

Wyndham Wilson医師(NCI癌研究センター)

試験の概要

リンパ腫とはリンパ球(白血球の1種)に発症する 悪性腫瘍のことである。特殊な遺伝子変異t(14;18)が、リンパ腫にはしばしば見られるが、この変異があると、細胞は過剰なBcl-2と呼ばれるタンパクを産生する。このBcl-2タンパクは、プログラムされた細胞死(アポトーシス)を阻害し、腫瘍形成や腫瘍増殖、および治療への耐性を誘発する。

ABT-263という新薬は、このBcl-2活性をブロックするため、Bcl-2に依存して生存している癌細胞はアポトーシスへ誘導される。前臨床試験では、ABT-263は癌細胞の中のBcl-2に結合することで、その機能を抑え、結果的に細胞死へ導く。

この臨床試験では、過去の化学療法にもかかわらず再燃、または進行したT細胞、B細胞リンパ腫の患者に、経口薬ABT-263が最長1年間投与される。これらの患者におけるABT-263の最大耐量(MTD)の確立、および薬剤の安全性と、暫定的な有効性を評価する予定である。また、ABT-263の体内活性(薬物動態)の研究も行われる。

「Bcl-2タンパクファミリーはB細胞リンパ腫において、またある種のT細胞リンパ腫や固形癌でも、癌細胞の不死化において決定的な役割を担っており、これらの癌における重要な分子ターゲットとなっている。」と、Wilson医師は述べる。「今回の試験は、特異的にBcl-2を阻害するよう設計されたABT-263に関する人における初めての試験である。」

試験の参加基準

過去の化学療法にもかかわらず増悪または進行がみられた18歳以上のT細胞およびB細胞リンパ腫患者を対象に80人を登録予定である。適格基準については以下を参照のこと。
http://cancer.gov/clinicaltrials/NCI-07-C-0006

試験を行っている施設と問合せ先

この試験はメリーランド州ベセズダにあるNIH臨床試験センターで行われる。
詳細はNCIの臨床試験照会オフィス1-888-NCI-1937 (1-888-624-1937)に電話のこと。この通話はフリーダイヤルで内容については秘密厳守である。

過去の「注目の臨床試験」のコラムについては以下を参照。
http://www.cancer.gov/clinicaltrials/ft-all-featured-trials

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野中 希  訳
林 正樹  (血液・腫瘍医)  監修 

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