ゾメタ®は閉経前乳癌患者において再発を低下させる

キャンサーコンサルタンツ
2009年2月

Austrian Breast & Colorectal Cancer Study Group Trial 12(オーストリア乳癌大腸癌臨床試験団体の試験12:ABCSG-12)の研究者らは、ホルモン陽性早期乳癌の内分泌治療に補助的にゾメタ(ゾレドロン酸)を追加した場合、閉経前の患者の無病生存期間を有意に延長すると発表した。これらの結果は2009年2月12日発行New England Journal of Medicine誌に掲載された。また2008年5月30日~6月2日にイリノイ州シカゴで開かれた2008年米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会で最新の抄録として提起された。

ビスフォスフォネート製剤ゾメタは抗がん剤併用で、固形癌あるいは多発性骨髄腫による骨転移の治療と同様に、悪性腫瘍の高カルシウム血症の治療に承認されている。また、研究によりゾメタが直接的な抗腫瘍効果を持つかもしれないことが示唆されている。

ABCSG-12試験はステージ1-2のホルモン陽性閉経前乳癌患者1,803人を対象にした多施設、非盲検第3相試験であった。試験の参加者らは腋窩リンパ節転移数が10未満で、また、根治目的癌切除術後、卵巣機能を抑制するためのゴナドトロピン放出ホルモン類似体ゴセレリン治療をした後に、本試験に登録され無作為に以下の4つの治療群に割り付けられた。

1)アリミデックス®(アナストロゾール)+ゾメタ、2)アリミデックス単独、3)ノルバデックス®(タモキシフェン)+ゾメタ4)ノルバデックス単独。治療期間は3年で、試験のフォローアップ中央値は47.8ヶ月であった。

●アリミデックスまたはノルバデックスの間で無病生存期間は相違がなかった。無病生存期間はそれぞれ92.0%と92.8%であった。

●無病生存期間は内分泌療法単独群(アリミデックス、ノルバデックス単独群)が90.8%に対してゾメタ追加群は94%であった。ゾメタ追加群は無病生存期間を36%(p=0.01)延長した。

●死亡リスクの低減がみられた(ハザード比 0.60)がこれは統計的に有意ではなかった。(p=0.11)

コメント:

更新されたこれらデータによりゾメタの追加によって閉経前のホルモン陽性乳癌患者において再発を低下させることが確認された。生存のベネフィットとなるかどうかを判断するためにさらなるフォローアップが注目されるであろう。

参考文献:
[1] Gnant M, Mlineritsch B, Schippinger W, et al. Endocrine therapy plus zoledronic acid in premenopausal breast cancer. New England Journal of Medicine. 2009;360:679-691.


  c1998- CancerConsultants.comAll Rights Reserved.
These materials may discuss uses and dosages for therapeutic products that have not been approved by the United States Food and Drug Administration. All readers should verify all information and data before administering any drug, therapy or treatment discussed herein. Neither the editors nor the publisher accepts any responsibility for the accuracy of the information or consequences from the use or misuse of the information contained herein.
Cancer Consultants, Inc. and its affiliates have no association with Cancer Info Translation References and the content translated by Cancer Info Translation References has not been reviewed by Cancer Consultants, Inc.
本資料は米国食品医薬品局の承認を受けていない治療製品の使用と投薬について記載されていることがあります。全読者はここで論じられている薬物の投与、治療、処置を実施する前に、すべての情報とデータの確認をしてください。編集者、出版者のいずれも、情報の正確性および、ここにある情報の使用や誤使用による結果に関して一切の責任を負いません。
Cancer Consultants, Inc.およびその関連サイトは、『海外癌医療情報リファレンス』とは無関係であり、『海外癌医療情報リファレンス』によって翻訳された内容はCancer Consultants, Inc.による検閲はなされていません。

翻訳担当者 内村 美里人

監修 武田 祐里子(薬学)

原文を見る

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

乳がんに関連する記事

大気汚染と乳がんリスクの関連は政治行動を要するの画像

大気汚染と乳がんリスクの関連は政治行動を要する

欧州臨床腫瘍学会(ESMO)微小粒子大気汚染レベルが高い場所に居住し働く女性は、汚染の少ない地域に居住し働く女性よりも乳がんに罹患する可能性が高い。居住地と職場の両方における大気汚染暴...
乳房切除・再建後の早期乳がんに対する短期放射線療法の安全性の画像

乳房切除・再建後の早期乳がんに対する短期放射線療法の安全性

ダナファーバーがん研究所がん関連の転帰および身体的な転帰は長期療法と短期療法で同等であったが、短期療法の方が生活と経済への負担が少ないことが患者調査によって報告された。

乳房切除術および...
化学療法に伴う乳がんサバイバーの末梢神経障害をコンピューターゲームが改善の画像

化学療法に伴う乳がんサバイバーの末梢神経障害をコンピューターゲームが改善

MDアンダーソンがんセンター化学療法誘発性末梢神経障害(CIPN)は、多くのがんサバイバーにしびれ、感覚の喪失、痛みなどのネガティブな感覚を引き起こし、がん治療後の主な慢性的問題として...
乳がん手術を回避できた患者が前向きな経験を報告の画像

乳がん手術を回避できた患者が前向きな経験を報告

MDアンダーソンがんセンター化学療法に強い反応を示した乳がん患者の一部は手術を回避でき、また、放射線治療のみを受けた場合もがんの再発リスクが低いことが、これまでの研究で示唆されている。...