高齢肺癌患者に併用化学療法の効果が期待できる

キャンサーコンサルタンツ

進行した非小細胞肺癌(NSCLC)の高齢患者に対して、2種の薬剤による併用化学療法が、単剤のみの化学治療に比べて全生存期間を改善した。本第3相臨床試験の結果は、Lancet誌に掲載された。

肺癌は、依然として米国における癌死亡原因の1位であり、非小細胞肺癌(NSCLC)は、肺癌の約85%を占めている。

NSCLC症例は70歳以上に好発するが、高齢者に対する最善の治療法に関する情報は限られている。情報が少なく、高齢者は積極的な治療には耐えられないのではないかという懸念から、高齢者は、若年の患者に一般的に使用されている併用療法ではなく、むしろ単剤で治療されている。

進行したNSCLC高齢患者に対する治療の選択肢を探索するために、フランスの研究者が70~89歳にわたる451人の患者を登録した第3相臨床試験を実施した。患者は、パクリタキセルとカルボプラチンの併用化学療法、あるいはゲムシタビンまたはビノレルビンどちらかの単剤化学療法を受ける群に割り当てられた。

  • 全生存期間は、併用化学療法群では10.3カ月、単剤化学療法群では6.2カ月であった。
  • 1年以上生存した患者は、併用化学療法群では44.5%であり、単剤化学療法群では25.4%であった。
  • 白血球減少および衰弱などの副作用は、併用化学療法でより多く認められた。

これらの結果により、進行したNSCLCの高齢患者は、若年患者と同様の積極的治療を考慮する余地があることが示唆された。積極的に治療することで副作用は増えるが、生存期間が延長される可能性はある。しかし、高齢の肺癌患者に焦点をあてた臨床試験が少ないことから、この問題に関してはさらに研究が必要である。

参考文献:

Quoix E, Zalcman G, Oster J-P et al. Carboplatin and weekly paclitaxel doublet chemotherapy compared with monotherapy in elderly patients with advanced non-small-cell lung cancer: IFCT-0501 randomised, phase 3 trial. The Lancet. Early online publication August 9, 2011.


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翻訳担当者 石岡 裕子

監修 辻村 信一 (獣医学/農学博士、メディカルライター)

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