ビタミンEアセテートが電子タバコ使用に関連する肺損傷の原因か

ビタミンEアセテートとEVALI(電子タバコ製品の使用に関連する肺損傷)の関連性について、以前の調査結果を支持する結果が、米国疾病予防管理センター(CDC)とオハイオ州立大学総合がんセンターの アーサー・G・ジェームズがん病院およびリチャード・J・ソロベ研究所(OSUCCC – James)の新たな共同研究により示され、New England Journal of Medicine誌に掲載された。

今回の調査で、CDCは16州のEVALI患者51人の気管支肺胞洗浄(BAL)液を分析し、健康者99人のBAL液と比較した。ビタミンEアセテートは、EVALI患者51人のうち48人のBAL液で確認されたが、健康者のBAL液では見つからなかった。また、米国食品医薬品局(FDA)および州の研究所で、製品サンプルからも検出された。ココナッツオイルとリモネン(EVALI患者各1人)を除き、いずれのグループのBAL液にも他の毒性物質は見つからなかった。

本研究のためのBAL液のサンプルは、米国の公衆衛生研究所および保健部門からCDCによって収集された。これらのサンプルは、臨床的な管理方法を判断するためにサンプルを収集した病院の臨床チームから受け取ったものである。

OSUCCCの副所長であり、ジェームズがん病院の胸部腫瘍医であるPeter Shields医師が率いる研究チームは、CDCによる進行中のEVALI調査とは関係のない、タバコ製品の試験で2015年から2019年に収集した健康者99人のBAL液サンプルを提供した。

「これらの調査結果は、ビタミンEアセテートがEVALIの潜在的な原因物質であるという結論を支持するものであり、急速に発展する電子タバコ産業を最適に規制する方法を決定する際の重要な発見である」と、OSUCCC – Jamesで電子タバコが肺の微小環境に与える影響を調べる気管支鏡検査研究を含む、多くの電子タバコ研究を主導するShields医師は述べた。

2019年10月に、Shields医師らは、医学雑誌であるCancer Prevention Research誌で、電子タバコの短期的な使用でさえ、肺に気がかりな炎症を起こすという最初のエビデンスを報告した。2019年12月17日には、医学雑誌であるCancer Epidemiology誌の電子版にて、追加データが雑誌版に先駆けて報告され、喫煙に関連する損傷が、電子タバコの喫煙者は従来の紙タバコの喫煙者よりもはるかに少なく、喫煙をしない人に類似していることが示された。

OSUCCC – Jamesでは、テトラヒドロカンナビノール(THC)を含む電子タバコ製品の研究の参加者募集が進行中である。最近、研究計画は、18歳以上の適格な参加者において、THCとマリファナを含む電子タバコ製品についても評価するよう拡大された。

機密性を維持するため、多数のメカニズムが設定されている。これらの研究および他のタバコ製品の研究の詳細については、go.osu.edu/tobacco-researchを参照するか、844-744-2447またはEcig-study@osumc.eduまで問合せ可能である。

翻訳担当者 河合加奈

監修 吉松由貴(呼吸器内科/飯塚病院)

原文を見る

原文掲載日 

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

肺がんに関連する記事

AACR:術前免疫化学療法+術後デュルバルマブにより肺がんの転帰が有意に向上の画像

AACR:術前免疫化学療法+術後デュルバルマブにより肺がんの転帰が有意に向上

MDアンダーソンがんセンター

第3相試験で、免疫療法と化学療法の併用は化学療法単独と比較して、疾患の再発、疾患の進行、疾患による死亡の割合が32%低下したことが判明した。

抄録:CT005...
がん臨床試験の合理化モデル「Pragmatica-Lung」試験、肺がん患者登録を開始の画像

がん臨床試験の合理化モデル「Pragmatica-Lung」試験、肺がん患者登録を開始

米国国立がん研究所(NCI) プレスリリース進行した非小細胞肺がん(NSCLC)を治療する2剤併用療法の第3相ランダム化臨床試験(NCT05633602)の立ち上げに米国国立衛生研究所...
切除可能な非小細胞肺がんにトリパリマブの画像

非小細胞肺がんにトリパリマブ+化学療法で無イベント生存を改善

ASCOの見解  「この研究は、外科的に切除可能なIII期の非小細胞肺がん患者において、外科的切除前に行う術前免疫療法+化学療法という現在の標準治療に、新しく周術期免疫療法のパラダイムを立てる可能性を示しています」
デュルバルマブ術前/術後療法は切除可能な非小細胞肺がんの転帰を改善の画像

デュルバルマブ術前/術後療法は切除可能な非小細胞肺がんの転帰を改善

米国がん学会(AACR)AEGEAN試験において、手術前後にデュルバルマブ(販売名:イミフィンジ)をベースにした治療を行った患者は、疾患の再発や進行イベントのリスクが32%低下した。 ...