FDAが転移扁平上皮肺がんの初回治療にペムブロリズマブ併用を承認

FDAが転移扁平上皮肺がんの初回治療にペムブロリズマブ併用を承認

2018年10月30日、米国食品医薬品局(FDA)は転移扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)患者の初回治療にペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ、Merck & Co. Inc.社)をカルボプラチン+パクリタキセルまたはナブパクリタキセルの併用治療として承認した。

本承認は、腫瘍のPD-L1発現率に関係なく、全身療法を受けていない転移扁平上皮NSCLC患者559人を対象に実施されたランダム化多施設共同二重盲検プラセボ対照試験、KEYNOTE-407試験(NCT02775435)に基づくものである。患者をペムブロリズマブ200mgまたはプラセボをカルボプラチンと併用する群に1:1に無作為に割り付け、これに加えて、試験責任医師の判断によって3週間ごとのパクリタキセルの投与または週1回のナブパクリタキセルの投与を3週間1サイクルとして4サイクル実施後、維持療法としてペムブロリズマブ200mgまたはプラセボを併用投与した。ペムブロリズマブまたはプラセボの投与は、疾患の進行、許容できない毒性の発現または最長24カ月まで継続した。

主要評価項目は、全生存期間(OS )、無増悪生存期間(PFS)および全奏効率(ORR)であり、盲検下で独立して評価された。この試験では、OS、PFSおよびORRにおいて、プラセボ+化学療法群に比べてペムブロリズマブ+化学療法群で、統計学的に有意な改善が示された。OSの中央値は、ペムブロリズマブ+化学療法群で15.9カ月、プラセボ+化学療法群で11.3カ月であった(ハザード比 0.64; 95%信頼区間: 0.49~0.85; p=0.0017)。PFSの中央値は、ペムブロリズマブ+化学療法群で6.4カ月、プラセボ+化学療法群で4.8カ月であった(ハザード比 0.56; 95%信頼区間: 0.45~0.70; p<0.0001)。ORRの解析はランダム化された初めの204人の患者のみに実施した。ORRはそれぞれ58%と35%であり、ペムブロリズマブを含む治療群の方が高かった(23.6%差; 95%信頼区間: 9.9~36.4; p=0.0008)。奏効期間の中央値は、それぞれの群で7.2カ月と4.9カ月と推定される。

KEYNOTE-407試験でペムブロリズマブ群の20%以上に認められ最もよくみられた有害反応は疲労または無力症、悪心、便秘、下痢、嘔吐、発熱、食欲減退、発疹、咳、呼吸困難、脱毛症および末梢神経障害であった。

転移NSCLC患者に対するペムブロリズマブの推奨用量は、3週間ごとの200mg静脈内投与であり、化学療法と同日に投与する場合は化学療法の前に投与する。疾患の進行、許容できない毒性の発現または最長24カ月まで継続する。

キイトルーダの全処方情報はこちらを参照。

FDAは本申請を優先審査に指定した。

翻訳担当者 滝坂美咲

監修 吉松由貴(呼吸器内科/飯塚病院)

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