FDAが転移を有する非小細胞肺がんにダコミチニブを承認

2018年9月27日、米国食品医薬品局(FDA)は、FDA承認検査で上皮成長因子受容体(EGFR)のエクソン19の欠失またはエクソン21のL858R置換変異が検出された転移を有する非小細胞肺がん(NSCLC)患者の初回治療として、dacomitinib[ダコミチニブ](商品名:VIZIMPRO、Pfizer Pharmaceutical Company社)を承認した。

本承認は、転移を有する切除不能NSCLC患者452人を対象にダコミチニブの安全性と有効性をゲフィチニブと比較したランダム化多施設共同非盲検実薬対照試験(ARCHER 1050、NCT01774721)に基づくものである。患者に求められたのは、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤を用いない全身療法の完了後、無病期間が最低12カ月であり、再発または転移を有するNSCLCの治療歴がないこと、米国東海岸がん臨床試験グループの定める全身状態が0または1であること、EGFRにエクソン19の欠失かエクソン21のL858R置換変異が認められることであった。患者は、ダコミチニブ45mg1日1回経口投与群またはゲフィチニブ250mg1日1回経口投与群に1対1で無作為に割り付けられ、疾患増悪または忍容できない毒性が認められるまで薬剤の投与を受けた。

この試験では、無増悪生存期間の有意な改善が示されたが、全奏効率または全生存率の改善は認められなかった。無増悪生存期間の中央値は独立審査委員会によって評価され、ダコミチニブ群とゲフィチニブ群でそれぞれ14.7カ月、9.2カ月であった(ハザード比0.59、95%信頼区間0.47~0.74、p <0.0001)。

処方情報には、間質性肺疾患(ILD)、下痢、および皮膚の有害事象に関する警告および注意が含まれる。ダコミチニブ群394人の患者のうち27%に重篤な有害事象がみられた。最も多く認められた有害事象のうちダコミチニブの投与中止に至ったものは下痢およびILDであった。最も多く認められたダコミチニブ群の有害事象(>20%)は下痢、発疹、爪囲炎、口内炎、食欲減退、乾燥肌、体重減少、脱毛症、咳およびそう痒症であった。

ダコミチニブの推奨用量は食事の有無にかかわらず1日1回45mgで経口投与である。

ダコミチニブ(商品名:VIZIMPRO)に関する全処方情報はこちらを参照。

FDAは本申請を優先審査およびオーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)に指定した。FDAの迅速承認プログラムに関する情報は、企業向けガイダンス、重篤疾患のための迅速承認プログラム-医薬品および生物学的製剤(Expedited Programs for Serious Conditions-Drugs and Biologics)に記載されている。

翻訳担当者 筧 貴行

監修 稲尾 崇(呼吸器内科/天理よろづ相談所病院)

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