米FDAが非扁平上皮非小細胞肺がんにセバベルチニブを迅速承認
2025年11月19日、米国食品医薬品局(FDA)は、全身療法歴のある局所進行または転移性の非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)成人患者のうち、FDA承認済み検査でHER2(ERBB2)チロシンキナーゼドメイン(TKD)活性化変異が腫瘍に認められた患者を対象に、キナーゼ阻害薬のsevabertinib[セバベルチニブ](商品名:Hyrnuo、Bayer HealthCare Pharmaceuticals Inc.社)を迅速承認した。
FDAはまた、セバベルチニブによる治療対象となり得る非扁平上皮非小細胞肺がん患者のHER2(ERBB2)TKD活性化変異の検出を補助するコンパニオン診断機器として、Oncomine Dx Target Test (Life Technologies Corporation社)を承認した。
Hyrnuoの詳細な処方情報は、こちらに掲載される。
有効性と安全性
全身療法歴を有する、切除不能または転移性、HER2(ERBB2)TKD活性化変異陽性の非扁平上皮非小細胞肺がん患者を対象としたSOHO-01試験(NCT05099172)でセバベルチニブ投与を受けた患者において、有効性を評価した。同試験は、オープンラベル、単群、多施設共同、多コホート臨床試験であった。HER2(ERBB2)活性化変異は、登録前に現地の検査機関で腫瘍組織または血漿から検出した。
主要な有効性評価項目は、RECIST v1.1に基づいて盲検独立中央判定(BICR)が評価した客観的奏効率(ORR)および奏効期間(DOR)であった。HER2(ERBB2)TKD活性化変異陽性の局所進行または転移性非扁平上皮非小細胞肺がん患者70人のうち、全身療法歴はあるがHER2変異を標的とした治療は未経験の患者において、ORRは71%(95%信頼区間:59~82)、DORの中央値は9.2カ月(95%信頼区間:6.3~15.0)であった。また、奏効患者の54%でDORが6カ月以上であった。
HER2(ERBB2)TKD活性化変異陽性であり、HER2を標的とした抗体薬物複合体を含む全身療法歴のある局所進行または転移性非扁平上皮非小細胞肺がん患者52人では、客観的奏効率(ORR)は38%(95%信頼区間:25~53)、奏効期間(DOR)の中央値は7.0カ月(95%信頼区間:5.6~評価不能)であり、奏効患者の60%はDORが6カ月以上であった。
処方情報には、下痢、肝毒性、間質性肺疾患(ILD)/肺炎、眼毒性、膵酵素の上昇、および胚胎児毒性に関する警告と注意事項が含まれている。
推奨用量
セバベルチニブの推奨用量は、食事と共に経口投与で20 mg 1日2回であり、病勢の進行または許容できない毒性が現れるまで継続する。
- 監修 高濱隆幸(腫瘍内科・呼吸器内科/近畿大学病院 ゲノム医療センター)
- 記事担当者 仲里芳子
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- 原文掲載日 2025/11/19
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