肺がんの新たな局面:喫煙歴のない若年女性

肺がんの新たな局面:喫煙歴のない若年女性

主なポイント:

  • 肺がんは若い女性や非喫煙者においてますます多く診断されるようになっている。新規肺がん診断のほぼ20%を非喫煙者が占めている。
  • 住宅内のラドン濃度を測定することは、肺がんのリスク低減に極めて重要である。
  • 医師は患者に健康を守るよう促す。原因不明の咳や長引く咳、胸の不快感、息切れ、疲労感、体重減少、これらはすべて医師などに伝えるべき重要な症状である。
  • 肺がん検診は極めて重要であり、早期診断によって肺がんによる死亡が減ることが実証されている。

かつて肺がんは、高齢の男性喫煙者に多いと考えられてきた。しかし肺がんはもはやそうしたレッテルで定義されるものではなく、その新たな実態は驚くべきものかもしれない。

現在、新規診断例のほぼ20%は喫煙歴のない人々であり、そのほとんどが女性である。オハイオ州立大学総合がんセンター アーサー・G・ジェームズがん病院およびリチャード・J・ソロブ研究所(OSUCCC-James)の専門家らは、住宅内のラドン濃度、大気汚染、遺伝子変異が主な原因であると指摘し、患者が自らの健康を守るよう呼びかけている。

「原因不明の咳や長引く咳、胸の不快感、疲労感、息切れがある場合は、無視しないでください。肺が重要なことを伝えようとしているのかもしれません」と、OSUCCC-James病院の胸部外科医Ioana Baiu医師は言う。「非喫煙者における肺がん原因の第1位はラドン曝露です。大気汚染や受動喫煙も関与していると考えられています」。

疾病管理予防センター(CDC)によると、米国における肺がんの約10~20%(年間2万~4万例)は、生涯喫煙本数が100本に満たない、あるいは全く喫煙したことがない人々に発生している。

Baiu医師は、肺がんのステージ1とステージ2では劇的に違うため、意識を高めることの重要性を強調している。

「ステージ1では、肺がんは外科的に切除可能で、通常、化学療法などの追加治療は必要ありません」と、オハイオ州立大学医学部の助教でもあるBaiu医師は説明する。「ステージ2では、肺がんがリンパ節に転移しており、手術に加えて全身療法が必要となります」。

肺がん検診の重要性

米国では、肺がんは男女ともにがん死因の第1位であり、乳がん、卵巣がん、大腸がん、腎臓がん、メラノーマ(黒色腫)、前立腺がん、精巣がんを合わせた死亡者数を上回っている。肺がん検診は、高リスク群における肺がん死亡を20%以上減少させることが実証されている。

Baiu医師は肺がん検診を推奨している。彼女は検診ガイドラインを拡大し、非喫煙者や若年患者にも広く適用すべきだと主張している。

「誰でもがんになる可能性があることを強調し、より広範な検診ガイドラインの推進に取り組んでいます」とBaiu医師は言う。「肺がんは誰にでも起こる病気です。自ら学び、自分の体の声に耳を傾けることが重要です」。

一般的に、肺がん検診は50~80歳の人、現在喫煙中で20年間1日1箱の喫煙歴がある人、過去15年以内に禁煙した元喫煙者に対して年1回の受診が推奨されている。検診の適否については、各自医師に相談のこと。

  • 監修 田中文啓(呼吸器外科/産業医科大学)
  • 記事担当者 山田登志子
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  • 原文掲載日 2025/10/30

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