米FDAが進展型小細胞肺がんにアテゾリズマブ併用でルルビネクテジンを承認

米FDAが進展型小細胞肺がんにアテゾリズマブ併用でルルビネクテジンを承認

2025年10月2日、米国食品医薬品局(FDA)は、進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)の成人患者のうち、アテゾリズマブ(販売名:テセントリク、Genentech Inc.社)またはアテゾリズマブ+ヒアルロニダーゼ-tqjs(販売名:Tecentriq Hybreza[テセントリク ハイブレザ]、Genentech Inc.社)、カルボプラチン、エトポシドによる一次導入療法後に病勢進行が認められていない患者の維持療法として、lurbinectedin[ルルビネクテジン](販売名:Zepzelca[ゼプゼルカ]、Jazz Pharmaceuticals, Inc.社)とアテゾリズマブまたはアテゾリズマブ+ヒアルロニダーゼ-tqjsの併用を承認した。
 
Zepzelca、テセントリク、およびTecentriq Hybrezaの詳細な処方情報はこちらに掲載される。

有効性と安全性

進展型小細胞肺がんの一次治療を受けている患者を対象としたランダム化多施設共同非盲検試験であるIMforte試験(NCT05091567)で、有効性が評価された。IMforte試験では、アテゾリズマブ、カルボプラチン、エトポシド(導入療法)の4サイクルを完了後に病勢進行が認められていない進展型小細胞肺がん患者483人を、ルルビネクテジン+アテゾリズマブ併用投与群とアテゾリズマブ単独投与群に1:1の割合で無作為に割り付け、病勢進行または許容できない毒性が認められるまで投与を継続した。
 
主要な有効性評価項目は、RECIST v.1.1に基づいて独立評価機関(IRF)が評価した全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)であり、導入療法完了後のランダム化時点から測定された。OS中央値は、ルルビネクテジン+アテゾリズマブ群で13.2カ月(95%信頼区間:11.9~16.4)、アテゾリズマブ群で10.6カ月(95%信頼区間:9.5~12.2)であった(ハザード比[HR]0.73[95%信頼区間:0.57~0.95]、両側p値0.0174)。PFSの中央値は、それぞれの群で5.4カ月(95%信頼区間:4.2~5.8)、2.1カ月(95%信頼区間:1.6~2.7)であった(HR 0.54[95%信頼区間:0.43~0.67]、両側p値<0.0001)。
 
ルルビネクテジンの処方情報には、骨髄抑制、肝毒性、組織壊死につながる血管外漏出、横紋筋融解症、および胚・胎児毒性に関する警告および注意事項が含まれている。アテゾリズマブおよびアテゾリズマブ+ヒアルロニダーゼ-tqjsの処方情報には、重度かつ致死的な免疫介在性副作用、輸注関連反応、同種造血幹細胞移植の合併症、および胚・胎児毒性に関する警告および注意事項が含まれている。

推奨用量

ルルビネクテジンの推奨用量は、静脈内投与で21日ごとに3.2 mg/m 2であり、病勢進行または許容できない毒性が認められるまで継続する。アテゾリズマブの推奨用量は、静脈内投与で2週間ごとに840 mg、3週間ごとに1200 mg、または4週間ごとに1680 mgであり、病勢進行または許容できない毒性が認められるまで継続する。アテゾリズマブ+ヒアルロニダーゼ-tqjsの推奨用量は、皮下投与で3週間ごとにアテゾリズマブ1875 mgとヒアルロニダーゼ30,000単位であり、病勢進行または許容できない毒性が認められるまで継続する。

  • 監修 吉松由貴(呼吸器内科/University of Greenwich, Queen Elizabeth Hospital)
  • 記事担当者 仲里芳子
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  • 原文掲載日 2025/10/02

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