米FDAがHER2 TKD活性化変異陽性の肺がん(NSCLC)にゾンゲルチニブを迅速承認
2025年8月8日、米国食品医薬品局(FDA)は、全身療法を受けたことのある切除不能または転移性の非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)の成人のうち、FDA承認の検査によってHER2(ERBB2)チロシンキナーゼドメイン(TKD)活性化変異が腫瘍に検出された患者を対象に、キナーゼ阻害薬であるzongertinib[ゾンゲルチニブ](販売名:Hernexeos、Boehringer Ingelheim Pharmaceuticals, Inc.社)を迅速承認した。
FDAはまた、ゾンゲルチニブによる治療対象となり得る非扁平上皮非小細胞肺がん患者のHER2(ERBB2)TKD活性化変異を検出する上で役立つコンパニオン診断装置として、Oncomine Dx Target Test(Life Technologies Corporation社)を承認した。
Hernexeosの詳細な処方情報はこちらに掲載される。
HER2(ERBB2)TKD変異を有する切除不能または転移性の非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)患者のうち、全身療法を受けたことがあり、非盲検多施設共同多コホート試験であるBeamion LUNG-1(NCT04886804)においてゾンゲルチニブを投与された患者を対象に、有効性を評価した。主要評価項目は、RECIST v1.1に基づいて盲検独立中央判定によって評価された客観的奏効率(ORR)および奏効期間(DOR)であった。
プラチナ製剤ベースの化学療法を受けたことがあるが、HER2を標的としたチロシンキナーゼ阻害薬や抗体薬物複合体(ADC)の投与を受けたことのない患者71人では、ORRは75%(95%CI:63~83)であり、DORが6カ月以上の患者は58%であった。
プラチナ製剤ベースの化学療法とHER2標的ADCの投与を受けたことのある患者34人では、ORRは44%(95% CI:29~61)であり、DORが6カ月以上の患者は27%であった。
処方情報には、肝毒性、左室機能不全、間質性肺疾患/肺臓炎、および胚胎児毒性に関する警告と注意事項が含まれている。
ゾンゲルチニブの推奨用量は体重に基づいている。体重90 kg未満の場合は120 mg 1日1回経口投与、体重90 kg以上の場合は180 mg 1日1回経口投与である。ゾンゲルチニブは食事の有無にかかわらず服用でき、病勢進行または許容できない毒性が認められるまで継続できる。
- 監修 稲尾崇(神鋼記念病院/呼吸器内科)
- 記事担当者 仲里芳子
- 原文を見る
- 原文掲載日 2025/08/08
【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。
肺がんに関連する記事
米FDAが非扁平上皮非小細胞肺がんにセバベルチニブを迅速承認
2025年11月26日
手術可能な中皮腫に術前・術後ニボ+イピの安全性、有効性を初めて示した臨床試験
2025年11月27日
EGFR変異非小細胞肺がんで、オシメルチニブと化学療法の併用が全生存期間を延長
2025年11月11日
EGFR変異陽性の進行非小細胞肺がん(NSCL...
肺がんの新たな局面:喫煙歴のない若年女性
2025年11月6日




