米FDAが、ROS1陽性非小細胞肺がんにタレトレクチニブを承認

米FDAが、ROS1陽性非小細胞肺がんにタレトレクチニブを承認

2025年6月11日、米国食品医薬品局(FDA)は、局所進行または転移性のROS1陽性非小細胞肺がん(NSCLC)の成人を対象に、キナーゼ阻害薬であるtaletrectinib[タレトレクチニブ](販売名:Ibtrozi、Nuvation Bio Inc.社)を承認した。
 
Ibtroziの詳細な処方情報は、こちらに掲載される。
 
TRUST-I(NCT04395677)とTRUST-II(NCT04919811)の2件の多施設単群非盲検臨床試験に登録された局所進行または転移性のROS1陽性非小細胞肺がん患者を対象に、有効性が評価された。有効性評価対象集団には、ROS1チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)の投与歴のない患者157人(TRUST-Iでは103人、TRUST-IIでは54人)と、ROS1 TKIを1回投与されたことのある患者113人(TRUST-Iでは66人、TRUST-IIでは47人)が含まれていた。進行がんに対する化学療法の治療歴がある患者も対象とされた。
 
主要な有効性評価項目は、RECIST 1.1に基づいて盲検独立中央判定に評価された確定全奏効率(ORR)および奏効期間(DOR)であった。治療歴のない患者におけるORRは、TRUST-Iで90%(95%CI:83、95)、TRUST-IIで85%(95%CI: 73、93)であり、12カ月以上のDORを示し、効果がみられた患者は、それぞれ72%と63%であった。TKI投与歴のある患者におけるORRは、TRUST-Iで52%(95%CI:39、64)、TRUST-IIで62%(95%CI:46、75)であり、6カ月以上のDORを示し、効果がみられた患者は、それぞれ74%と83%であった。
 
タレトレクチニブの処方情報には、肝毒性、間質性肺疾患/肺臓炎、QTc間隔延長、高尿酸血症、クレアチンホスホキナーゼ上昇を伴う筋肉痛、骨格骨折、および胚胎児毒性に関する警告と注意事項が含まれている。
 
タレトレクチニブの推奨用量は、疾患の進行または許容できない毒性が現れるまで、600 mgの空腹時1日1回経口投与である(タレトレクチニブを服用する前後少なくとも2時間は食事を摂取しないこと)。
 
この審査では、FDAの評価を容易にするために申請者が任意で提出するAssessment Aidが使用された。
 
この申請は、優先審査、画期的治療薬、および希少疾病用医薬品の指定を受けた。FDAの迅速プログラムは、「企業向けガイダンス: 重篤疾患のための迅速承認プログラム-医薬品およびバイオ医薬品」に記載されている。
 
医療従事者は、医薬品および医療機器の使用に関連すると疑われるすべての重篤な有害事象を、FDAのMedWatch報告システムまたは1-800-FDA-1088に報告しなければならない。
 
がん領域の治験薬の単一患者INDに関する支援については、医療関係者はOCEのProject Facilitate(電話:240-402-0004、Eメール:OncProjectFacilitate@fda.hhs.gov)に連絡することができる。

  • 監修 吉松由貴(呼吸器内科/University of Greenwich, Queen Elizabeth Hospital)
  • 記事担当者 仲里芳子
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  • 原文掲載日 2025/06/11

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