EGFR遺伝子検査は進行肺がんにおいて十分に活用されてない

EGFR遺伝子検査は進行肺がんにおいて十分に活用されてない

キャンサーコンサルタンツ

最近の調査結果によれば、進行肺がん患者のほぼ四分の一は上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子変異検査を治療開始前に受けていない。

近年のEGFR標的薬の開発は治療選択肢を広げ、肺がん患者の転帰を改善してきた。世界肺癌学会(IASLC)がまとめたガイドラインでは、EGFR遺伝子変異が存在する進行非小細胞肺がん(非扁平上皮がん)(NSCLC)の診断の際にEGFR遺伝子変異検査を行い、その結果を治療決定のガイドとするように推奨している。

EGFR遺伝子変異検査について実際の世界的動向を評価するために、英国の医師らは2014年12月から2015年1月まで、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、韓国、スペイン、台湾、英国、米国の腫瘍医562人を対象に調査を実施した。

調査によれば、NSCLCのステージIII~IVと新たに診断された患者のうち81%に一次治療の前にEGFR遺伝子変異検査が依頼されていた。検査を行わなかった主な理由は、組織が不十分であったこと、患者の全身状態が良好でなかったこと、および、検査結果が得られるまでに時間がかかることであった。

腫瘍医の23%は治療決定においてEGFR遺伝子変異サブタイプを考慮しないと答え、49%はEGFR遺伝子変異サブタイプの検出がチロシンキナーゼ阻害薬の選定など治療決定に影響を与えると答えた。

本調査は、EGFR遺伝子変異陽性NSCLCの特定と治療に関するガイドラインが十分に実施されていないことを示すとともに、EGFR標的治療が有益である可能性がある一部の患者がその機会を奪われていることを示唆する。新たにNSCLCであると診断された患者は、自分の組織標本についてEGFR遺伝子変異検査が実施されたかどうかを確認し、実施されていなかったら検査を要求するべきである。

参考文献:
Spicer J, Tischer B, Peters M. EGFR Mutation Testing and Oncologist Treatment Choice in Advanced NSCLC: Global Trends and Differences. Presented at ELCC 2015, abstract number LBA2 PR.


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翻訳担当者 有田香名美

監修 吉松由貴(呼吸器内科/淀川キリスト教病院)

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