ペンブロリズマブが進行性非小細胞肺がんに有望、臨床転帰はバイオマーカーに相関

ペンブロリズマブ[pembrolizumab]の免疫療法は進行性非小細胞肺がん(NSCLC)患者に安全で、持続的な臨床効果をもたらすことが明らかになった。そして、腫瘍のプログラム細胞死リガンド1(PD-L1)タンパク質レベルが高い患者ほど臨床転帰が良好であった。これは第1相(KEYNOTE-001)の試験データから判明したもので、4月18~22日に開催された2015年米国がん学会(AACR)年次総会で発表された。

同時に、New England Journal of Medicine誌にも掲載された。

カリフォルニア大学ロサンゼルス校David Geffen医科大学院の准教授Edward B. Garon医師は、「KEYNOTE-001のトレーニングコホートにおけるPD-L1をバイオマーカーとした腫瘍細胞免疫組織化学の解析結果によると(2014年AACR年次総会で報告)、少なくとも半数のがん細胞にPD-L1の発現が確認されたNSCLC患者は、ペンブロリズマブの治療で最も良好な転帰をとった」と述べた。

「今回の報告は、トレーニングコホート182人と検証コホート313人を含む495人すべてのデータで、全495人の全奏効率(ORR)は19%であった」。Garon医師は、「奏効患者集団の奏効持続期間の中央値は、PD-L1発現量の程度によらず1年を超えた。このクラスの薬剤の試験結果としては注目すべきことの1つだ」としている。

スクリーニングされた患者のおよそ1/4は腫瘍細胞の少なくとも半数がPD-L1を発現していた。検証コホートでの、これらの患者中で、ORRはほぼ50%にのぼった。Garon医師は、「今回の結果は、チェックポイント阻害薬で治療した肺がん患者集団でも最も大きいデータセットであることに加えて、独立した検証コホートにおいてPD-L1の発現が奏効の明確なマーカーであることを初めて証明したものである」とも語った。

ORRは、腫瘍細胞のPD-L1発現割合が1~49%の患者集団で16.5%、1%未満の患者集団では10.7%であった。

がん細胞の少なくとも半数にPD-L1の発現が確認された患者集団では、治療歴のある、なしにかかわらず、追跡期間中央値が10.9カ月を経過後、全生存期間中央値は未到達であった。

全般に副作用プロフィールは良好で、薬剤との因果関係が否定できないグレード3以上の有害事象の発現率は10%未満であったとGaron医師は述べた。薬剤関連死は1人で、死因は間質性肺炎であった。間質性肺炎は3.6%に認められたが、その半数はグレード1もしくは2であった。少なくとも2%の患者に発現した、その他の免疫関連の有害事象は注入反応および甲状腺機能低下症であった。

Garon医師は「現在、こうした適応で用いる薬剤、もしくはバイオマーカー試験で承認されているものはない。しかし、少なくとも半数の腫瘍細胞にPD-L1発現を認めた患者がいて、そしてペンブロリズマブが投与可能であれば、その患者の治療選択肢として、ペンブロリズマブに目を向けるのに説得力のある今回のデータを取り上げるだろう」と述べた。

KEYNOTE-001に登録された患者のうち、384人は治療歴があり、101人は治療歴がなかった。病勢進行、死亡、試験からの離脱、もしくは耐容できない毒性が認められるまで、すべての患者がペンブロリズマブの投与を継続した。

本試験はMerck社による資金提供を受けた。Garon医師の施設は本試験を実施するための資金を受領したが、ほかに利益相反はないことを宣言している。

翻訳担当者 川又総江

監修 小宮武文(カンザス大学医療センター 腫瘍内科)

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