Pembrolizumabは非小細胞肺癌の治療に有望

キャンサーコンサルタンツ

現在実施中の第Ib相試験の結果から、抗PD-1抗体pembrolizumabによる研究的治療は、治療歴のないステージIV非小細胞肺癌(NSCLC)に対して高い奏効率を示し、癌の進行を遅らせることがわかった。これらの結果は、このほど6月にシカゴで開催された第50回米国臨床腫瘍学会(ASCO 2014)年次総会で発表された[1]。

肺癌は依然として世界中で癌関連死因の第一位である。米国では、NSCLCが全肺癌の75~80%を占める。ここ数年で進展はあるものの、進行期肺癌患者の大多数は未だに本疾患により死亡する。新たな治療が非常に必要とされている。研究者らはこのほど、NSCLC に対するpembrolizumabの使用が有望と思われると報告した。

PD-1阻害剤と呼ばれる新規の薬剤群に属するpembrolizumabは、免疫系による癌の認識と癌への攻撃を促進するという薬効が大変注目されている。PD-1は特定のタイプの免疫応答を阻害するタンパク質の一つである。PD-1を阻害する薬剤は、癌と闘う免疫系の能力を増強すると思われる。PembrolizumabはPD-1を阻害することで作用する。Pembrolizumabは30種以上の癌を対象に研究されており、黒色腫(メラノーマ)の早期試験は有望である[2]。

研究者らの報告によれば、治療歴のないNSCLC患者における全奏効率は26%であった。これは同様の患者集団を対象としたいかなる既知の化学療法レジメンと比較しても全く遜色がない。研究者らによる報告で特に重要な点は、奏効している全患者において追跡期間中央値36週の時点で効果が持続しており、奏効期間中央値には達していないということである。さらにpembrolizumabの中間解析では、癌進行までの期間も改善するとみられる。

これらの結果は予備的なものである。今秋、治療歴のないPD-L1陽性転移性非小細胞肺癌患者を対象に、pembrolizumabを標準的なプラチナベース化学療法と比較する第3相 KEYNOTE-024試験への登録を開始する予定である。

参考文献:

[1] Rizvi N, Garon E, Patnaik A,Safety and clinical activity of MK-3475 as initial therapy in patients with advanced non-small cell lung cancer (NSCLC).J Clin Oncol 32:5s, 2014 (suppl; abstr 8007)
[2] Ribas A, Hodi FS, Kefford R, et al. Efficacy and safety of the anti-PD-1 monoclonal antibody MK-3475 in 411 patients (pts) with melanoma (MEL). J Clin Oncol 32:5s, 2014.


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翻訳担当者 近藤あゆ美

監修 後藤 悌 (呼吸器内科/東京大学大学院医学系研究科)

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