強度のニコチン依存では肺癌リスクが高まることが判明
米国国立がん研究所(NCI)ニュースノート
原文掲載日 :2014年6月19日
ニコチン依存が高い人 ― 目覚めから5分以内にその日最初のタバコを吸う人 ― は、目覚めから1時間以上経ってから吸う人に比べて肺癌を発症するリスクが高い。 NCIの研究者は、1日あたりの喫煙本数、年齢、性別、慢性閉塞性肺疾患の既往歴、およびその他の肺癌の危険因子など従来の尺度に加え、ニコチン依存度を測ることが、肺癌リスク予測に役立つことを見出した。本研究結果は、Journal of the National Cancer Institute誌の2014年6月19日号電子版に発表された。
NCIの癌疫学・遺伝学部門(Division of Cancer Epidemiology and Genetics)と遺伝疫学科(Genetic Epidemiology Branch)の上席研究員であるNeil E. Caporaso博士と、博士課程修了の特別研究員であるFangyi Gu博士をはじめとする研究グループは、イタリア・ロンバルディア地方の5都市に暮らす肺癌患者約1,800人および非肺癌患者1,400人のデータを解析した。同研究グループは、喫煙上の特性、年齢、性別などを考慮したうえで、起床後5分以内にその日1本目のタバコを吸う人は、起床後1時間以上経過してからその日1本目のタバコを吸う人に比べて肺癌のリスクが3倍以上高まったことを確認した。1日あたりの喫煙本数、ならびに喫煙歴ごとに分類した各カテゴリーどちらにおいても、肺癌リスクの上昇が確認された。起床してから最初の喫煙までの時間を考慮することは、臨床医が患者の肺癌リスクの度合いを迅速に評価するのに役立つであろう。今回の研究結果をふまえると、ニコチン依存症の喫煙者であれ、今後依存症になる喫煙者であれ、肺癌を発症するリスクがかなりあると考えられることから、軽度の喫煙者であっても喫煙をやめる必要性があることが強調されている。研究者らは今後、ニコチン依存が他の健康上の転帰に与える影響について研究を続ける方針である。
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