Xgevaはゾメタに比し進行期肺癌患者の生存を延長させる

キャンサーコンサルタンツ

Journal of Thoracic Oncology誌に発表された研究の結果によると、販売名Xgeva®(デノスマブ)を使用した骨標的治療を受けた進行期肺癌患者は、販売名ゾメタ®(ゾレドロン酸)の投与を受けた患者に比べて、生存がやや改善したことが分かった。

転移性腫瘍とは、体内の遠隔部位に転移した癌をいう。肺癌を含むいくつかの種類の癌は、骨に転移する傾向がある。骨への転移は、骨折や脊髄圧迫などの深刻な問題をもたらす可能性があり、外科的治療または放射線治療を必要とする場合がある。非小細胞癌(NSCLC)の患者のおよそ3割から4割に骨転移が認められる。

骨関連事象(SREs)の発現を予防することまたは抑制することは、生活の質(クオリティ・オブ・ライフ)を維持し、医療費の削減をもたらす可能性がある。ゾメタなどのビスフォスフォネート製剤は通常、骨転移による合併症のリスクを抑えるために用いられるが、研究者らは新たな治療法を模索し続けている。XgevaはRANKリガンドとして知られるタンパク質を標的とする薬剤である。このタンパク質は、破骨細胞(骨を壊す細胞)の活性を制御している。Xgevaは、固形腫瘍(血液関連の癌を除く)の骨転移を有する患者において、骨折などの骨関連合併症の予防薬として承認されている。

固形腫瘍または多発性骨髄腫の骨転移の治療に関して、Xgevaおよびゾメタによる大規模第3相ランダム化比較試験が行われた。患者はXgeva皮下投与群とゾメタ静注群のいずれかに無作為に割り付けられた。本試験には、肺癌患者811人-NSCLC患者702人および小細胞肺癌(SCLC)患者109人-が含まれていた。

全肺癌患者を対象とした分析の結果、全生存期間の中央値は、Xgeva投与群では8.9カ月であったのに対して、ゾメタ静注群では7.7カ月であった。NSCLC患者の全生存期間の中央値については、Xgeva投与群では9.5カ月であったのに対して、ゾメタ静注群では8.0カ月であった。NSCLC患者について、研究者らが組織型集団別に生存期間を分析したところ、扁平上皮癌患者の生存期間の中央値は、Xgeva投与群では8.6カ月であったのに対して、ゾメタ静注群では6.4カ月であった。SCLC患者の生存期間については、ゾメタ静注群(2.5カ月)に比してXgeva投与群(5.1カ月)に延長がみられた。有害事象の発生率および重症度は両群において差は無かった。

研究者らは、転移性肺癌患者においてXgevaはゾメタに比し全生存期間を延長させると結論付けた。

参考文献:
Scagliotti GV, Hirsh V, Siena S, et al. Overall survival improvement in patients with lung cancer and bone metastases treated with denosumab versus zoledronic acid: Subgroup analysis from a randomized phase 3 study. Journal of Thoracic Oncology. 2012; 7(12): 1823-1829.


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翻訳担当者 谷口 淳

監修 田中謙太郎(呼吸器・腫瘍内科、免疫/テキサス大学MDアンダーソンがんセンター)

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