アブラキサン(タキソールの新型薬)/アブラキサンはステージIV期非小細胞肺癌において単剤で作用を示す

キャンサーコンサルタンツ
2006年6月

米国臨床腫瘍学会(ASCO)の2006年年次総会で発表された第1/2相臨床試験の結果によると、アブラキサン™(アルブミン結合パクリタキセル)は、ステージIV期非小細胞肺癌(NSCLC)を持つ化学療法未治療の患者で30%の奏効率をもたらす。

アブラキサンは、タキソール®やそのジェネリック同等剤に含まれる有効成分パクリタキセルから構成される。しかし、アブラキサンの薬剤形態では、パクリタキセルはアルブミン粒子の懸濁液で投与されるため、ポリエトキシレート化されたヒマシ油(Cremophor EL)がパクリタキセルの溶剤として使用されるタキソールやそのジェネリック同等剤に比べていくつかの利点がある。

アブラキサンは、併用化学療法不応の転移性乳癌の治療、または補助化学療法(臨床的に禁忌でない限り、前治療はアントラサイクリンを含んでなければならない)の6ヵ月以内に再発した乳癌に対し現在承認されているが、その他の癌の種類の治療にも評価が行われている。

進行NSCLCにおけるアブラキサンの最大耐量(MTD)を特定するため、またMTDでアブラキサンの治療効果と毒性を探索するため、研究者らは40名のステージIV期NSCLCを持つ化学療法未治療の患者で第1/2相臨床試験を実施した。アブラキサンは、28日毎にDay 1、8、15で投与された。臨床試験の第1相部分で評価された3つの投与量は、110 mg/m2、125 mg/m2と150 mg/m2であった。

 ・臨床試験の第1相部分では、MTDとして125 mg/m2を特定した。
・この投与量で、臨床試験の第2相部分の結果では、30%の奏効率を示した。
・平均生存期間は、10.9ヵ月であった。
・グレード3の副作用で、倦怠感、感覚性ニューロパシー、好中球減少が認められた。グレード4の好中球減少はまれであった。

研究者らは、アブラキサンは、この試験で、第一選択薬として単剤での有望な作用を示し、NSCLCにおける今後のアブラキサンのさらなる開発が必要とされる、と結論付けている。

参考文献

Reference:Rizvi NA, Azzoli C, Miller V et al. Phase I/II Study of ABI-007 as First Line Chemotherapy in Advanced Non-small Cell Lung Cancer. Proceedings from the 42nd annual meeting of the American Society of Clinical Oncology. Atlanta, Ga. June 2006. Abstract # 7105.


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翻訳担当者 湖月 みき

監修 平 栄(放射線腫瘍科)

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