スーテントが進行非小細胞肺癌患者に効果を示す

キャンサーコンサルタンツ
2008年3月

スーテント®〔Sutent〕(スニチニブ〔sunitinib〕)が治療歴のある進行非小細胞肺癌(NSCLC)に単剤で有意な効果を示すことを、国際多施設共同試験に参加した研究者らが報告した。この第2相臨床試験の詳細はJournal of Clinical Oncology誌2008年2月1日号に掲載された。

スニチニブはfms-様チロシンキナーゼ3(Flt3)、Kit、血管内皮増殖因子(VEGF)、および血小板由来増殖因子(PDGF)受容体に対する経口キナーゼ阻害剤である。スニチニブは抗血管新生作用、直接殺癌細胞作用などを含む標的された機序によって抗癌作用を発揮する。スーテントは進行腎細胞癌治療、またGleevec(イマチニブ)投与後に進行が認められた、あるいは不耐容であった消化管間質腫瘍(GIST)治療に対して承認されている。

標準療法後に増殖が認められた進行NSCLC患者に対するスニチニブの効果を調査するため、研究者らはプラチナ系薬剤をベースとする化学療法が奏効しなかった患者63名を対象に第2相臨床試験を行った。患者にはスニチニブを1日50mg、4週間投与し、2週間休薬とした。

  7名(11.1%)に部分奏効がみられた。
  18名(28.6%)に最低8週間の病勢の安定がみられた。
  無進行生存期間の中央値は12週間、全生存期間の中央値は23.4週間であった。
  軽度から中等度の副作用として、疲労、悪心、息切れ、嘔吐、食欲不振、下痢があった。
  重篤な副作用は少なく、重度の疲労(19%)、息切れ(13%)、無力症(9.5%)、および悪心/嘔吐(7%)があった。
  2名が肺出血で、1名が脳出血で死亡した。

スーテントは忍容性が良好で、一次化学療法が奏効しなかったNSCLC患者に対する治療において現在承認済みの薬剤と同様に有効であったと考えられる、と研究者らは結論づけている。

コメント

この試験は、他の治療が奏効しなかった進行NSCLCにおけるスーテントの単剤での有効性を評価した初めての試験である。

参考文献:

Socinski MA, Novello S, Brahmer JR, et al. Multicenter, Phase II trial of sunitinib in previously treated, advanced non-small cell lung cancer. Journal of Clinical Oncology. 2008;26:650-656.

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翻訳担当者 河原 恭子

監修 島村 義樹(薬学)

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