維持療法薬としてのアリムタが非小細胞肺癌の進行を遅らせる

キャンサーコンサルタンツ
2008年5月

ルーマニアの研究者らが、初期化学療法実施後にアリムタ(Pemetrexed [ペメトレキセド])による治療を継続すれば、進行性または転移性非小細胞肺癌(NSCLC)患者の病勢進行を有意に遅らせることができると報告した。この結果は最近、米国臨床腫瘍学会(ASCO)により報告され、来る5月30日から6月3日にかけてシカゴで開催される同学会の2008年年次総会で発表される。

アリムタはNSCLC患者の治療に効果的な薬剤であるが、使用の至適タイミングは未だ明確に定まっていない。最新の第3相臨床試験では、局所進行性または転移性NSCLC患者を対象にアリムタを用いた維持療法の有効性を評価した。試験には、プラチナベースの化学療法実施後に病勢安定が得られた患者663人を登録した。片方の患者群には3~6週間アリムタを投与し、もう一方にはプラセボを投与した。

● 無増悪生存期間は、維持療法薬としてのアリムタ投与群が4.3カ月、プラセボ投与群が2.6カ月であった。

● 全生存期間は、アリムタ投与群が13カ月に対してプラセボ投与群は10.2カ月であった。

● アリムタの最も重大な副作用は貧血で、5%未満の患者に認められた。

コメント:

研究者らは、このデータは維持化学療法がNSCLC患者の転帰を改善することを示した初の試験結果であると結論した。全生存期間に関するデータは未だ予備的なもので、アリムタを用いた維持療法が実際に生存を改善するかどうかの結論を下すためには長期間の追跡試験が必要である。

参考文献:

Ciuleanu T, Brodowicz T, Belani C, et al. Maintenance pemetrexed plus best supportive care (BSC) versus placebo plus BSC: a Phase III trial. Proceedings from the American Society of Clinical Oncology. Journal of Clinical Oncology. 2008;26: Abstract #8011.


  c1998- CancerConsultants.comAll Rights Reserved.
These materials may discuss uses and dosages for therapeutic products that have not been approved by the United States Food and Drug Administration. All readers should verify all information and data before administering any drug, therapy or treatment discussed herein. Neither the editors nor the publisher accepts any responsibility for the accuracy of the information or consequences from the use or misuse of the information contained herein.
Cancer Consultants, Inc. and its affiliates have no association with Cancer Info Translation References and the content translated by Cancer Info Translation References has not been reviewed by Cancer Consultants, Inc.
本資料は米国食品医薬品局の承認を受けていない治療製品の使用と投薬について記載されていることがあります。全読者はここで論じられている薬物の投与、治療、処置を実施する前に、すべての情報とデータの確認をしてください。編集者、出版者のいずれも、情報の正確性および、ここにある情報の使用や誤使用による結果に関して一切の責任を負いません。
Cancer Consultants, Inc.およびその関連サイトは、『海外癌医療情報リファレンス』とは無関係であり、『海外癌医療情報リファレンス』によって翻訳された内容はCancer Consultants, Inc.による検閲はなされていません。

翻訳担当者 片岡 

監修 林 正樹(血液・腫瘍医)

原文を見る

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

肺がんに関連する記事

RET融合陽性非小細胞肺がんに対するセルペルカチニブ治療は東アジアの患者に有効の画像

RET融合陽性非小細胞肺がんに対するセルペルカチニブ治療は東アジアの患者に有効

食道がん、上咽頭がん、肺がんの治療の進歩ーASCOブレークスルー会議新しい治療法が生存とQOLの改善に役立つ食道がん、上咽頭がん、肺がんにおける新たな研究の進展を詳述する3つの...
FDAが、非小細胞肺がんにラゼルチニブとアミバンタマブ併用を承認の画像

FDAが、非小細胞肺がんにラゼルチニブとアミバンタマブ併用を承認

米国食品医薬品局(FDA)2024年8月19日、食品医薬品局(FDA)は、FDA承認検査で検出された上皮成長因子受容体(EGFR)エクソン19欠失またはエクソン21 L858R置換変異...
治療困難なKRAS変異肺がんモデルにおいて、活性型RAS阻害薬が抗腫瘍効果をもたらすの画像

治療困難なKRAS変異肺がんモデルにおいて、活性型RAS阻害薬が抗腫瘍効果をもたらす

ある種のKRAS G12C阻害薬に対する耐性は、活性のあるGTP結合型RASの蓄積に起因する可能性があり、これはがん患者の腫瘍増殖を促進させる。したがって、活性型RASを効果的に阻害す...
肺がん、食道がん、鼻咽頭がんの治療の進歩ー日本開催ASCOブレークスルー会議の画像

肺がん、食道がん、鼻咽頭がんの治療の進歩ー日本開催ASCOブレークスルー会議

米国臨床腫瘍学会 (ASCO) のブレークスルー会議では、臨床医、腫瘍学のリーダー、医療技術および研究の先駆者が一堂に会し、がん治療技術の最新イノベーションを活用して進歩を加速し、患者...