FDAが再発/難治性濾胞性リンパ腫にmosunetuzumabを迅速承認

2022年12月22日、米国食品医薬品局(FDA)は、CD20とCD3への二重特異性をもつT細胞エンゲージャーであるmosunetuzumab-axgb[モスネツズマブ](販売名:Lunsumio、Genentech, Inc.社)を、全身治療歴が2回以上ある再発または難治性の濾胞性リンパ腫(FL)の成人患者に迅速承認した。

mosunetuzumabは、非盲検、多施設共同、複数コホート試験のGO29781試験(NCT02500407)で評価された。有効性解析集団は、抗CD20モノクローナル抗体とアルキル化剤を含む全身治療歴が2回以上ある再発または難治性のFL患者90人を対象とした。

有効性の主要評価項目は、非ホジキンリンパ腫の標準基準(Cheson 2007)に従って独立審査機関が評価した奏効率(ORR)であった。ORRは80%(95% CI: 70, 88)であり、60%が完全奏効を得た。奏効者の追跡期間中央値は14.9カ月であり、奏効期間(DOR)の推定中央値は22.8カ月(95% CI: 10, not reached)、12カ月時および18カ月時の推定DOR割合はそれぞれ62%および57%であった。

処方情報には、重篤または生命を脅かすサイトカイン放出症候群(CRS)への枠組み警告が含まれている。警告および注意として、神経毒性、感染、血球減少症および腫瘍フレアなどが記載されている。mosunetuzumabを推奨用量で投与した血液腫瘍患者218人のうち、CRSが39%に、神経毒性が39%[免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群(ICANS)1%を含む]に、重篤な感染が17%に、腫瘍フレアが4%に生じた。CRSは、グレード2が15%に、グレード3が2%に、グレード4が0.5%に生じた。

統合した安全性解析集団の218人に最もよく(20%以上に)見られた副作用はCRS、疲労、発疹、発熱および頭痛であった。最もよく(10%以上に)見られたグレード3~4の臨床検査値異常は、リンパ球数減少、リンの低下、血糖上昇、好中球数減少、尿酸の上昇、白血球数減少、貧血および血小板減少であった。

mosunetuzumabは推奨用量として、1サイクル目は1日目に1 mg、8日目に2 mg、15日目に60 mg、2サイクル目は1日目に60 mg、3サイクル目以降は1日目に30 mg投与する。1投与サイクルは21日である。mosunetuzumabは、許容できない毒性か疾患進行が患者に生じないかぎり8サイクル投与する。8サイクル投与後、完全奏効が得られた患者は治療を中止する。部分奏効または安定の患者は、疾患進行か許容できない毒性が患者に生じないかぎり最大17サイクルまで投与を継続する。

Lunsumioの処方情報全文はこちらを参照。


  • 監訳 佐々木 裕哉(血液内科/筑波大学血液内科)
  • 翻訳担当者 前田 愛美
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  • 原文掲載日 2022/12/23

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