FDAが再発または難治性の濾胞性リンパ腫にチサゲンレクルユーセルを承認

2022年5月27日、米国食品医薬品局(FDA)は二次治療もしくはそれ以降の治療で全身療法を受けた再発または難治性の濾胞性リンパ腫(FL)成人患者に対し、チサゲンレクルユーセル(販売名:Kymriah[キムリア]、Novartis Pharmaceuticals Corporations社)を迅速承認した。

本承認は、(抗CD20抗体薬およびアルキル化剤を含む)二次治療もしくはそれ以降の治療で全身療法を完了後、6カ月以内に再発もしくは難治性を示した成人患者または自家造血幹細胞移植後に再発した成人患者を対象に実施されたELARA試験(NCT03568461)の結果に基づくものである。ELARA試験はCD19標的キメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法薬のチサゲンレクルユーセルを単一群、多施設共同、非盲検にて評価した臨床試験である。患者にはリンパ球除去化学療法後に、チサゲンレクルユーセルを目標用量(CAR発現生T細胞0.6~6.0×10^8個)単回静脈内投与した。

有効性主要評価項目は、独立審査委員会の判定による全奏効率(ORR)および奏効期間(DOR)であった。有効性主要解析の対象集団90人におけるORRは86%(95%CI:77, 92)、完全奏効(CR)率は68%(95%CI:57, 77)であった。9カ月時では奏効例の75%(95%CI:63, 84)が奏効を維持しており、DORは中央値に達していなかった。白血球アフェレーシス(n = 98)を実施した全患者のORRは86%(95%CI:77, 92)、CR率は67%(95%CI:57, 76)であった。

最もよくみられた副作用(発生率>20%)は、サイトカイン放出症候群、感染症、疲労、筋骨格系疼痛、頭痛、下痢であった。

チサゲンレクルユーセルの推奨用量は、CAR発現生T細胞として0.6~6.0×10^8個である。

キムリアの全処方情報はこちらを参照。(日本語の添付文書はこちらを参照)

翻訳担当者 伊藤美奈子

監修 吉原哲(血液内科,細胞治療/兵庫医科大学)

原文を見る

原文掲載日 

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

リンパ腫に関連する記事

CAR-T細胞療法は侵攻性リンパ腫に有益の画像

CAR-T細胞療法は侵攻性リンパ腫に有益

米国国立がん研究所(NCI) がん研究ブログ個別化免疫療法の一種であるCAR-T細胞療法は、一部の侵攻性非ホジキンリンパ腫(NHL)の治癒に役立つ可能性がある。これは、CAR-T細胞療...
FDAがびまん性大細胞型B細胞リンパ腫にglofitamab-gxbmを承認の画像

FDAがびまん性大細胞型B細胞リンパ腫にglofitamab-gxbmを承認

米国食品医薬品局(FDA)2023年6月15日、米国食品医薬品局(FDA)は、2ライン以上の全身療法後の再発または難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫非特定型(DLBCL, NOS)...
axi-celが早期再発/難治性大細胞型B細胞リンパ腫の生存期間を有意に改善-ASCO2023の画像

axi-celが早期再発/難治性大細胞型B細胞リンパ腫の生存期間を有意に改善-ASCO2023

MDアンダーソンがんセンター(MDA)第3相ZUMA-7試験で、CAR-T細胞療法は標準治療と比較して死亡リスクを27.4%低下させることが判明

早期再発または難治性の大細胞型B細胞リン...
原発性縦隔B細胞リンパ腫に化学免疫療法後の放射線治療は不要な可能性の画像

原発性縦隔B細胞リンパ腫に化学免疫療法後の放射線治療は不要な可能性

米国臨床腫瘍学会(ASCO2023)ASCOの見解「これらの知見は、若年成人に多く発生する悪性度の高い種類のリンパ腫において特に重要である。これらの心強いデータにより、高用量の...