FDAがびまん性大細胞型B細胞リンパ腫にタファシタマブを迅速承認

2020年7月31日、米国食品医薬品局(FDA)は、再発・難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)に対して、レナリドミドとの併用でtafasitamab[タファシタマブ](販売名:MONJUVI、MorphoSys US Inc.社)を迅速承認した。タファシタマブはCD19をターゲットとする細胞溶解抗体製剤であり、低悪性度リンパ腫由来のDLBCLで自家造血幹細胞移植の対象とならない患者に対して適応となる。

タファシタマブとレナリドミドの併用療法の有効性は、81人の患者を対象とした多施設共同の非盲検単群試験であるL-MIND試験(NCT02399085)で評価された。患者には、レナリドミド(28日間の各サイクルの1日目から21日目までに25mgを経口投与)と併用してタファシタマブを12mg/kg、最大12サイクルまで静注した後、タファシタマブを単剤で投与した。

有効性は、独立審査委員会によって評価された、完全奏効と部分奏効、および奏効期間で定義された最良の奏効率(ORR)に基づいて評価された。71人の患者は病理中央診断によってびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)と診断され、最良のORRは55%(95%信頼区間[CI]:43-67%)で、完全奏効は37%、部分奏効は18%であった。奏効期間中央値は21.7カ月(範囲:0-24カ月)であった。

最もよくみられた(20%以上)副作用は、好中球減少、疲労、貧血、下痢、血小板減少、咳、発熱、末梢性浮腫、呼吸器感染症、食欲減退であった。

タファシタマブの推奨用量は、1回の点滴静注につき12mg/kgである。

MONJUVIの全処方情報はこちらを参照。

本適応は、奏効率に基づいて迅速承認された。本適応の継続的な承認は、検証的試験において臨床的有用性が確認され、記載されることが条件となる場合がある。

本審査では、FDAの審査をにするために、申請者が自発的に申請を行うAssessment Aidを使用した。FDAは、目標期日の1カ月前に本申請を承認した。

本申請は、優先審査、ファストトラック、画期的治療薬、オーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)の指定を受けた。FDA迅速承認プログラムに関する情報は、「企業向けガイダンス:重篤な疾患のための迅速承認プログラムー医薬品およびバイオ医薬品」(the Guidance for Industry: Expedited Programs for Serious Conditions-Drugs and Biologics)に記載されている。

翻訳担当者 日ノ下満里

監修 佐々木裕哉(白血病/MDアンダーソンがんセンター)

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