FDAが濾胞性リンパ腫にタゼメトスタットを迅速承認

2020年6月18日、米国食品医薬品局(FDA)は再発・難治性濾胞性リンパ腫の成人患者に対し、EZH2阻害薬tazemetostat[タゼメトスタット](TAZVERIK、Epizyme, Inc.社)を迅速承認した。FDAに認可された検査で腫瘍内にEZH2変異が検出された成人患者の中で、これまで2回以上全身療法を受け、満足できる代替治療の選択肢がない患者を対象とする。

同日、FDAは、タゼメトスタットのコンパニオン診断薬として、コバスEZH2変異検査(Roche Molecular Systems社)も承認した。

今回の承認は、2回以上の全身療法を受けた後に組織学的検査で濾胞性リンパ腫が確認された患者を対象とした多施設共同試験(研究E7438-G000-101、NCT01897571)における2つの非盲検単一群コホート研究 (コホート4-EZH2変異型FLおよびコホート5-EZH2野生型FL)に基づいて行われた。EZH2変異解析は、ホルマリン固定パラフィン包埋された腫瘍標本を使用して前向きに実施され、コバスEZH2変異検査を用いて中央検査施設において施行された。患者は、疾患の進行または許容できない毒性が確認されるまで、1日2回、タゼメトスタット800mgを経口投与された。

有効性は国際ワーキンググループの非ホジキンリンパ腫の基準に従って、独立審査委員会が評価する全奏効率および奏効期間に基づいて評価された。EZH2変異濾胞性リンパ腫患者42人の全奏効率は69%(95%CI:53―82%)で、完全奏効は12%、部分奏効は57%であった。これらの患者の奏効期間中央値は10.9カ月(95%CI:7.2―NE)であった。EZH2野生型濾胞性リンパ腫患者53人のORRは34%(95%CI:22―48%)で、完全奏効は4%、部分奏効は30%であった。奏効期間中央値は13カ月(95%CI:5.6―NE)であった。

試験参加者の多く(20%以上)に認められた有害事象には、疲労、上気道感染症、筋骨格痛、吐き気、腹痛があった。重篤な有害事象は30%の患者に発生し、ほとんどが感染によるものであった。二次原発悪性腫瘍の罹患が治療中止の最も多い理由であった(患者の2%)。処方情報には、二次悪性腫瘍に関する警告および使用上の注意が含まれている。

タゼメトスタットの推奨用量は1回800mgであり、1日2回食前または食後に内服する。

TAZVERIKの全処方情報はこちらを参照。

今回の適応に対する迅速承認は全奏効率と奏効期間に基づいている。今回の適応に対しての継続的な承認には、確認試験において臨床的有益性が検証することを条件とする可能性がある。

本申請は優先審査および迅速指定を受けた。FDAの迅速承認プログラムは、「企業向けガイダンス(Guidance for Industry):重篤疾患のための迅速承認プログラム―医薬品および生物学的製剤(Expedited Programs for Serious Conditions-Drugs and Biologics)」に記載される。

翻訳担当者 畔柳祐子

監修 佐々木裕哉(白血病/MDアンダーソンがんセンター)

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