高用量ビタミンCがリンパ腫マウスにおいて免疫療法薬の抗がん効果を増強

最近導入されたがん免疫療法は、患者の免疫系ががんを攻撃する力を引き出す。1月7日、Proceedings of the National Academy of Sciences(米国科学アカデミー紀要)電子版で公開された研究で、統括著者であるNiraj Shenoy医師らは、高用量アスコルビン酸(ビタミンC)を抗PD-1チェックポイント阻害薬と呼ばれる免疫療法と併用すると、リンパ腫モデルマウスで抗腫瘍効果が増強されることを報告した。

この研究は、高用量アスコルビン酸による治療 が、免疫反応を引き起こすリンパ腫細胞の能力を高めることを示している。すなわち、この治療により、CD8陽性T細胞やマクロファージの腫瘍への浸潤能が高まり、さらに、高用量アスコルビン酸が、免疫系の細胞傷害性細胞(細胞傷害性T細胞およびNK細胞)と抗原提示細胞を著しく活性化することによって、抗PD-1チェックポイント阻害薬と相乗作用する。この研究結果は、侵攻性B細胞リンパ腫患者や他の悪性腫瘍の前臨床モデルに対し、高用量アスコルビン酸と抗PD-1阻害薬の併用試験を行うための説得力のある論理的根拠となる。この研究は、Blood Cancer Journal誌論文Journal of Clinical Investigation 誌論文Cancer Cell誌論文に掲載された、Shenoy医師による、がんエピジェネティクスにおいてアスコルビン酸を使用した先行研究の延長上にある。

Shenoy医師は、アインシュタイン医科大学の内科学助教で、モンテフィオーレ・アインシュタインがんセンターの腫瘍内科医でもある。この研究の筆頭著者であるRebecca Luchtel博士は、アインシュタイン医学校の特任助教である。

*サイト注:マウスの研究です。現時点で、ヒトにおいて効果があるかはわかっていません。

翻訳担当者 畔柳祐子

監修 北丸綾子(分子生物学・理学博士)

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