FDAがびまん性大細胞型B細胞リンパ腫にポラツズマブベドチンを承認

2019年6月10日、米国食品医薬品局(FDA)は、ベンダムスチンおよびリツキシマブ製剤との併用時に適応となるCD79bを標的とする抗体薬物複合体であるポラツズマブベドチン[Polatuzumab Vedotin-piiq](販売名:POLIVY、Genentech,Inc.社)を再発または難治性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の成人患者のうち治療を2回以上実施した患者に対して迅速承認した。

今回の承認は、1つ以上のレジメンで治療後の再発または難治性DLBCLを有する80人の患者コホートを対象とした非盲検多施設共同試験であるGO29365試験 (NCT02257567)に基づいている。患者をベンダムスチンおよびリツキシマブ製剤を併用したポラツズマブベドチン投与群(P+BR)またはベンダムスチンおよびリツキシマブ製剤投与群(BR)に1:1に無作為に割り付け、1サイクル21日として6サイクル投与した。ポラツズマブベドチン1.8mg/kgは、1サイクル目の2日目および以降のサイクルの1日目に静脈内投与した。  ベンダムスチン(90 mg/m2静脈投与 )は、1サイクル目の2日目と3日目および以降のサイクルの1日目と2日目に投与した。リツキシマブ製剤(375mg/m2静脈投与)は、各サイクルの1日目に投与した。 

有効性は、独立審査委員会が決定する完全奏効率および奏効期間に基づくものである。治療終了時の完全奏効率は、BRのみ 投与した群では18%(95%信頼区間 [CI]):7~33%)であったが、P+BR群では40%(95%CI: 25~57%)であった。最良総合効果(完全奏効および部分奏効)は、BR群では25%だったのに対し、P+BRでは63%であった。P+BR群で部分奏効または完全奏効に到達した25人の患者のうち、奏効期間が6カ月以上の患者は16人(64%)、12カ月以上は12人(48%)であった。

P+BR群で最もよくみられた(発現率20%以上)有害反応は、好中球減少、血小板減少症、貧血、末梢神経障害、疲労、下痢、発熱、食欲減退、および肺炎であった。重篤な有害反応は64%で発現し、感染が最多であった。治療中止の理由は血球減少症が最も多かった(全患者の18%)。

処方情報には、末梢神経障害、投与時反応 、骨髄抑制、重篤な日和見感染症、進行性多巣性白質脳症、腫瘍崩壊症候群、肝毒性、および胎児毒性に関する警告と使用上の注意が記載されている。

ポランツズマブベドチンの推奨用量は、ベンダムスチンおよびリツキシマブ製剤を併用し、21日間を1サイクルとして1.8 mg/kgを90分間かけて6サイクルの静脈内投与とする。初回注入に対する忍容性が認められる場合は、以降の注入を30分間で行ってもよい。抗ヒスタミン薬および解熱薬を前投与し、ニューモシスチス肺炎 とヘルペスウイルスの予防を行うこと。

POLIVYの全処方情報はこちらを参照。

本適応は、完全奏効率に基づき迅速承認された。本適応に対する継続的な承認は、検証的試験における臨床的有用性の検証と内容次第である。FDAは、本申請を優先審査、画期的治療薬、およびオーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)に指定した。FDAの迅速承認プログラムに関する情報は、「企業向けガイダンス:重篤疾患のための迅速承認プログラム−医薬品およびバイオ医薬品」(Guidance for Industry: Expedited Programs for Serious Conditions-Drugs and Biologics)に記載されている。

翻訳担当者 小石みゆき

監修 喜安純一(血液内科・血液病理/飯塚病院 血液内科)

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