イピリムマブが幹細胞移植後に再発した血液がんに有効

イピリムマブが幹細胞移植後に再発した血液がんに有効

ダナファーバーがん研究所

進行性血液がん患者の多くは、幹細胞移植で病状が寛解する。しかし、その約3分の1の患者は再発し、深刻な予後不良に直面する。

New England Journal of Medicine誌に掲載されたダナファーバーがん研究所の試験によると、免疫療法薬を繰り返し投与するという新たな治療アプローチを用いることで、このような苦境に立たされている患者に完全寛解をもたらすことが示されている。この方法により、将来、幹細胞移植後での再発を防止できるようになるかもしれない。

血液の悪性疾患を再発した患者に対し、転移性メラノーマ(悪性黒色腫)の免疫チェックポイント阻害剤として承認されているイピリムマブを投与し、ドナーより移植された免疫系により腫瘍攻撃力の復活を試みた。移植された免疫の反応が時間の経過とともに弱くなっていることが、がん再発につながっていると考えられている。

患者は、最長1年間、さまざまな投与量のイピリムマブを繰り返し投与された。イピリムマブは、免疫チェックポイントのCTLA4を阻害する。CTLA4にはがん細胞が免疫防御を回避できるようにする作用がある。

この試験の筆頭著者であるダナファーバーがん研究所、血液腫瘍科のMatthew Davids医師は、「ドナー免疫細胞は存在すると信じていますが、抑制シグナルが腫瘍細胞の姿を見えなくしてしまうため、腫瘍細胞を認識することができないのです。チェックポイントをブロックすることで、ドナー細胞はがん細胞が判別できるようになります」と述べる。イピリムマブは進行性メラノーマ治療で最初に使用されてきたが、今回の新たな試験において、移植後の血液がんに対する有効性が証明された。

白血病、リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成腫瘍を再発した計28人の患者が、試験担当医師の主導による多施設第1相試験に登録された。

最大用量のイピリムマブで治療を受けた22人の患者のうち、5人は完全寛解となり、がんは検知できない状態となった。また、2人の患者は部分寛解となり、腫瘍は縮小した。別の6人は、反応ありとはならなかったものの、全身腫瘍組織量が減少した。つまり、イピリムマブ治療により、再発患者の59%においてがんが減少した。

完全寛解がみられた患者のうち、3人は皮膚に影響がおよぶ治療困難型の白血病であった。このような「髄外骨髄性白血病」は、骨髄に限局されておらず、一般的に標準治療には反応しないが、チェックポイント阻害薬には特別に反応するのかもしれないと著者は述べた。

イピリムマブのようなチェックポイント阻害薬は、T細胞を抑制する分子ブレーキを放出することにより免疫システムを活性化させる。そのため、この治療により、移植片対腫瘍効果とともに、重篤な移植合併症である移植片対宿主病(GVHD)を引き起こす懸念があった。

Davids医師は、「そのようなことはみられませんでした」と述べた。28人の患者のうち、 治療の継続を不可能とさせるようなGVHDを発症したのはわずか4人であり、その全員がGVHDを抑制するコルチコステロイド剤に反応した。別の6人は、イピリムマブ治療においては一般的な副作用を発症し、1人は免疫関連の有害事象で死亡した。

試験担当医師は、今回の有望な結果により、移植後再発患者に対するより大規模なチェックポイント遮断試験を行うきっかけができたと述べた。高リスク患者の再発防止のために免疫治療薬が投与できるか否かを判断するための、さらなる調査が計画されている。

本レポートの上級著者は、悪性血液疾患科主任で骨髄移植プログラム共同ディレクターのRobert Soiffer医師である。

本研究は、米国国立衛生研究所(5R01CA183559-03, 5R01CA183560-03, 5UM1CA186709-02)、米国国立がん研究所がん治療評価プログラム、Leukemia & Lymphoma Society Therapy Accelerator Program (Blood Cancer Research Partnership)、Ted and Eileen Pasquarello Tissue Bank、ダナファーバーがん研究所腫瘍内科および免疫腫瘍センターより資金援助を受けた。

翻訳担当者 白石里香

監修 吉原 哲(血液内科・細胞治療/兵庫医科大学)

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