造血幹細胞移植後のブレンツキシマブ・ベドチンがホジキンリンパ腫の生存期間を改善
キャンサーコンサルタンツ
再発または難治性ホジキンリンパ腫(HL)患者において、自家造血幹細胞移植後のブレンツキシマブ・ベドチン(アドセトリス)投与は生存期間を改善する可能性がある。Lancet誌電子版にてこれらの試験結果が発表された。
ホジキンリンパ腫はリンパ系のがんである。通常は身体の1箇所に発生し、その後リンパ系全体に広がる。治療後あるいは病状が一定の改善をみたのちに再発する場合は再発性、また治療に対し抵抗性を示す場合は難治性と定義される。一部の再発または難治性HL患者では、大量化学療法と造血幹細胞移植の併用により効果的に治療が行える。造血幹細胞移植が奏効しない患者にとって、追加治療の選択肢には限りがある。
大量化学療法後の自家造血幹細胞移植は、再発または難治性HL患者における標準治療である。自家造血幹細胞移植において、幹細胞は大量化学療法の前に患者自身から採取される。幹細胞は骨髄または末梢血から採取され、必要な処理がなされたのち凍結保存される。患者から採取された幹細胞は自家造血幹細胞と呼ばれる(幹細胞が他人から採取された場合、同種造血幹細胞移植として区別される)。
研究者らは今回、自家幹細胞移植後に分子標的治療剤ブレンツキシマブ・ベドチンを投与することで、再発または難治性HLの無増悪生存期間が改善するかどうかを評価した。この治療法におけるブレンツキシマブ・ベドチン投与の目的は、身体に残存するあらゆるがん細胞を死滅させることであった。この治療法は地固め療法として知られている。
北米とヨーロッパの研究者らは、ブレンツキシマブ・ベドチンが自家造血幹細胞移植を受けたホジキンリンパ腫患者の無増悪生存期間を改善するかどうかを評価するため、第3相臨床試験をデザインした。試験には再発または難治性ホジキンリンパ腫患者329人が参加した。患者165人にブレンツキシマブ・ベドチンを16サイクル投与し、残りの164人にはプラセボ(薬理作用のない代替物質)を16サイクル投与した。治療は自家造血幹細胞移植から30~45日後に開始され、3週間に1回静脈内投与された。
ブレンツキシマブ・ベドチン投与患者ではプラセボ投与患者と比較して無増悪生存期間が有意に改善したとみられる。ブレンツキシマブ・ベドチン投与群ではプラセボ投与群と比較して無増悪生存期間中央値が約1.5年延長した(それぞれ3.5年対2年)。
ブレンツキシマブ・ベドチン投与群で多くみられた副作用は末梢神経障害、好中球減少症などであった。ブレンツキシマブ・ベドチン投与群ではプラセボ投与群と比較して患者死亡率がわずかに高く、それぞれ167人中28人、160人中25人であった(17%対16%)。
上記の試験結果から、自家造血幹細胞移植後のブレンツキシマブ・ベドチン投与は再発または難治性HL患者の無増悪生存期間を改善することが示唆される。ブレンツキシマブ・ベドチンを併用した地固め療法は、このような患者にとって重要な治療選択肢となる可能性がある。
参考文献:
Moskowitz CH, Nademanee A, Masszi T, et al.
Brentuximab vedotin as consolidation therapy after autologous stem-cell transplantation in patients with Hodgkin’s lymphoma at risk of relapse or progression (AETHERA): a randomised, double-blind, placebo-controlled, phase 3 trial. The Lancet [online publication]. March 18, 2015.
c1998- CancerConsultants.comAll Rights Reserved. These materials may discuss uses and dosages for therapeutic products that have not been approved by the United States Food and Drug Administration. All readers should verify all information and data before administering any drug, therapy or treatment discussed herein. Neither the editors nor the publisher accepts any responsibility for the accuracy of the information or consequences from the use or misuse of the information contained herein. Cancer Consultants, Inc. and its affiliates have no association with Cancer Info Translation References and the content translated by Cancer Info Translation References has not been reviewed by Cancer Consultants, Inc. 本資料は米国食品医薬品局の承認を受けていない治療製品の使用と投薬について記載されていることがあります。全読者はここで論じられている薬物の投与、治療、処置を実施する前に、すべての情報とデータの確認をしてください。編集者、出版者のいずれも、情報の正確性および、ここにある情報の使用や誤使用による結果に関して一切の責任を負いません。 Cancer Consultants, Inc.およびその関連サイトは、『海外癌医療情報リファレンス』とは無関係であり、『海外癌医療情報リファレンス』によって翻訳された内容はCancer Consultants, Inc.による検閲はなされていません。 |
原文掲載日
【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。
リンパ腫に関連する記事
CAR-T細胞療法後の二次がんリスクを知る
2024年9月12日
ASCO2024:ダナファーバーがん研究所の発表(リンパ腫、乳がん、脳腫瘍)
2024年8月21日
ダナファーバーがん研究所の研究者らは、中枢神経系(CNS)リンパ腫、乳がん、神経膠芽腫の患者の治療において有望な結果をも...
抵抗性アグレッシブB細胞リンパ腫への5剤併用療法で持続的寛解
2024年6月24日
【ASCO2024年次総会】新併用療法BrECADDは、ホジキンリンパ腫に既存治療より効果的
2024年6月10日
「7 種類の抗がん剤を組み合わせた BEACOPP は、進行期の古典的ホジキンリ...