ボルテゾミブを用いた初回治療がマントル細胞リンパ腫患者の転帰を改善

キャンサーコンサルタンツ

ボルテゾミブ(ベルケイド)をベースとした併用療法は標準療法と比較して、治療歴のないマントル細胞リンパ腫(MCL)患者の転帰を有意に改善したとする大規模比較試験の結果が米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会で示された。

非ホジキンリンパ腫(NHL)はリンパ系の細胞に生じる癌で、異常(癌性)リンパ球が過剰に集積する点が特徴である。リンパ系にこの異常リンパ球が集まり、他の免疫細胞や血液細胞の形成や機能を阻害する。MCLはNHLに分類され、全リンパ腫中約5~10%を占める。MCLと診断された時にはすでにリンパ節や骨髄、他の臓器へ浸潤している場合がほとんどである。

本試験では、ステージ2、3、または4と新たに診断されたMCL患者487人を対象に、R-CHOP療法とボルテゾミブをベースとするVcR-CAP療法を比較した。VcR-CAP療法群では、無増悪生存を59%改善した。R-CHOP療法群の14.4カ月間に対しVcR-CAP療法群では24.7カ月間、リンパ腫増悪のエビデンスはなかった。本試験の報告時、VcR-CAP療法群における全生存期間は中央値に未到達であり、中央値は4.5年を超える。

全体としては本試験で比較した2つの療法間で有害事象に大きな違いはなかったが、VcR-CAP療法において血小板数や白血球数の減少を引き起こす骨髄毒性の発生頻度が高かった。
また、両療法でそれぞれ約30%の患者にさまざまなグレードで末梢神経障害が生じた。

参考文献:
Cavalli F, Rooney B, Pei L, et al. Randomized phase 3 study of rituximab, cyclophosphamide, doxorubicin, and prednisone plus vincristine (R-CHOP) or bortezomib (VR-CAP) in newly diagnosed mantle cell lymphoma (MCL) patients (pts) ineligible for bone marrow transplantation (BMT). J Clin Oncol 32:5s, 2014 (suppl; abstr 8500).


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翻訳担当者 鶴田京子

監修 吉原 哲(血液内科/コロンビア大学CCTI)

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