Pidilizumabとリツキシマブの併用が再発濾胞性リンパ腫患者で高い奏効率

キャンサーコンサルタンツ

Lancet Oncology誌に掲載された試験結果によると、モノクローナル抗体pidilizumab+リツキシマブ(リツキサン)の併用療法が再発濾胞性リンパ腫患者で高い奏効率を示すことがわかった。

非ホジキンリンパ腫(NHL)は、リンパ系の細胞で発生する癌の一形態である。リンパ系には、脾臓、胸腺、扁桃、骨髄、リンパ節および血中を循環する免疫細胞などがある。濾胞性リンパ腫は、低悪性度または緩慢性のリンパ腫であると考えられているNHLの一種である。すなわち、進行の遅いNHLのサブセットである。濾胞性リンパ腫にはB細胞として知られる白血球の一種が関与している。

Pidilizumab(CT-011)は、免疫応答を調節するヒト化モノクローナル抗体(mAb)であり、腫瘍の増殖や転移の拡大を阻害する。Pidilizumabは、腫瘍組織内のT細胞上に発現し、T細胞の機能を損なわせる抑制性の共受容体PD-1(Programmed Death-1)に結合するため、抗PD-1抗体であると考えられている。

MDアンダーソンがんセンターで実施された第2相非盲検試験では、1~4種類の前治療後に再発したリツキシマブ感受性の濾胞性リンパ腫成人患者30人が対象となった。以上の患者は、pidilizumabを4週間毎に4サイクル静脈内投与され、病勢安定または病勢改善がみられる患者は任意で4週間毎に8サイクル追加投与された。Pidilizumabの初回投与から17日目より、患者はリツキシマブを4週間にわたって毎週投与された。

患者はpidilizumabを中央値で10回投与され、97%がリツキシマブの4サイクル投与をすべて受けた。追跡期間中央値は15.4カ月であった。結果から、pidilizumab+リツキシマブの併用療法によって患者の66%に客観的奏効が得られ、52%に完全奏効が得られることがわかった。奏効までの期間は中央値で88日間であり、6人の患者では、pidilizumabの投与開始後、奏効が得られるまでに4カ月以上かかった。

患者の86%に測定可能な腫瘍退縮がみられた。すべての患者では無増悪生存期間中央値が18.8カ月、奏効した患者では未到達、腫瘍退縮がみられた患者では20.2カ月であった。臨床的奏効率と、FLIPI(濾胞性リンパ腫国際予後因子)-1、FLIPI-2、前治療歴、これまでのリツキシマブの投与回数および前治療の奏効持続期間との間に有意な関連性はみられなかったが、無増悪生存期間とFLIPI-1およびFLIPI-2との間には有意な関連性がみられた。

自己免疫または治療に関連したグレード3ないし4の有害事象はみられなかった。有害事象によって投与を中断された、または治療を中止された患者は皆無であった。

研究者らは、pidilizumab+リツキシマブの併用はきわめて忍容性があり、再発濾胞性リンパ腫患者に有効であると結論づけた。

参考文献:
Westin JR, Chu F, Zhang M, et al: Safety and activity of PD1 blockade by pidilizumab in combination with rituximab in patients with relapsed follicular lymphoma: a single group, open-label, phase 2 trial. The Lancet Oncology. 2014; 15(1): 69-77.


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翻訳担当者 寺本瑞樹

監修 北村裕太(内科研修医 東京医科歯科大学医学部付属病院)

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