FDAがマントル細胞リンパ腫の治療にibrutinib[イブルチニブ]を承認/FDAニュース

FOR IMMEDIATE RELEASE: 2013年11月13日
Media Inquiries: Stephanie Yao, 301-796-0394

Consumer Inquiries: 888-INFO-FDA

FDAが希少血液癌の治療薬にibrutinib[イブルチニブ]を承認

画期的治療薬指定としての2番目のFDA承認薬

米国食品医薬品局(FDA)は本日、希少かつ侵襲性の血液癌であるマントル細胞リンパ腫(MCL)の患者を対象とする治療薬としてImbruvica(iburutinib[イブルチニブ])を承認した。

マントル細胞リンパ腫は、非ホジキンリンパ腫の希少タイプであり、米国内において非ホジキンリンパ腫を有する全症例の約6%を占めている。マントル細胞リンパ腫と診断される時点では、通常、リンパ節や骨髄、および他の臓器へすでに広がっている。

Imbruvicaは、少なくとも1度の前治療歴のあるマントル細胞リンパ腫患者に使用することを目的としている。同薬剤は、マントル細胞リンパ腫の増殖や侵襲に必要な酵素を阻害することによりその効果を発揮する。Imbruvicaは、同疾患の治療薬として承認された3番目の医薬品である。同疾患の治療薬として、Velcade[ベルケイド](2006年)とRevlimid[レブラミド ](2013年)がすでに承認されている。

「Imbruvicaの承認は、希少疾患に罹患している患者に対して治療の機会を与えようとするFDAの責務を表しています」と、FDA医薬品評価研究センターの血液腫瘍製品室長であるRichard Pazdur医師は語っている。さらに同医師は「当局は、医薬品の開発、審査および承認を迅速に進めるために企業と協力しており、これは画期的治療薬指定プログラムの公約を反映しています」と語っている。

Imbruvicaは、画期的治療薬指定としてFDA承認を取得した2番目の医薬品である。2012年7月に可決されたFDA安全性およびイノベーション法(Food and Drug Administration Safety and Innovation Act)により、新薬が、重篤もしくは生命にかかわる疾患に罹患している患者を対象とする既存薬に比し、有意な改善をもたらす可能性があることを示す予備的な臨床的エビデンスがある場合、FDAは治験依頼者の要請により画期的な治療薬の指定を行えるようになった。

FDAは同機関の迅速承認制度のもとでImbruvicaを承認している。同制度により、患者に対する臨床的な有用性を合理的に予測し得る代替的エンドポイントに対して、新薬が効果を有することを示す臨床データに基づき、FDAが重度の疾患に対する治療薬を承認できる。この制度により、有望な新薬に対する患者による早期のアクセスが可能となり、その一方で製薬会社は確認的な臨床試験を実施する。FDAはImbruvicaの優先審査(priority review)および稀用薬(orphan-product)指定も認めたが、その理由は、本剤が重篤な病状の治療において安全性と有効性に顕著な改善を示す可能性があることを示したこと、および本剤が希少疾患の治療を目的としているからである。

マントル細胞リンパ腫を適応症とするImbruvicaの迅速承認は、111人の被験者に対して、病状が悪化したりまたは忍容できない副作用が生じるまでImbruvicaを連日投与した試験結果に基づくものである。治療後、被験者の約66%に癌の縮小または消失がみられた(全奏効率)。生存率や疾患関連症状がどれほど改善するのかは明らかになっていない。

Imbruvicaによる治療を受けた被験者について報告された副作用で最も多かったものは、血小板減少症、下痢、好中球減少症、貧血、疲労、筋骨格痛、腫脹(浮腫)、上気道感染、悪心、挫傷、呼吸困難、便秘、発疹、腹痛、嘔吐、および食欲減退である。他の臨床的に有意な副作用は、出血、感染症、腎障害、他の類型の癌の発症などである。

Imbruvicaは、カリフォルニア州Sunnyvaleに本拠を置くPharmacyclics社およびニュージャージー州Raritanに本拠を置くJanssen Biotech, Inc.社が共同販売している。ベルケイド (ボルテゾミブ)の販売元はマサチューセッツ州ケンブリッジに本拠を置くMillennium Pharmaceuticals社である。レブラミド(レナリドミド)の販売元はニュージャージー州Summitに本拠を置くCelgene社である。

詳しい情報については以下を参照のこと:

FDA: Office of Hematology and Oncology Products (血液腫瘍製品室)[原文]
FDA: Breakthrough Therapies (画期的治療薬)[原文]
FDA: Drug Innovation (薬剤における革新)[原文]
FDA: Approved Drugs: Questions and Answers(承認薬:質問と回答)[原文]
NCI: Non-Hodgkin Lymphoma (非ホジキンリンパ腫)[原文]

******
谷口 淳 訳
吉原 哲 (血液内科/コロンビア大学CCTI) 監修 
******

原文

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

リンパ腫に関連する記事

意図せぬ体重減少はがんの兆候か、受診すべきとの研究結果の画像

意図せぬ体重減少はがんの兆候か、受診すべきとの研究結果

ダナファーバーがん研究所意図せぬ体重減少は、その後1年以内にがんと診断されるリスクの増加と関連するという研究結果が、ダナファーバーがん研究所により発表された。

「運動習慣の改善や食事制限...
【米国血液学会(ASH)】マントル細胞リンパ腫、イブルチニブ+ベネトクラクス経口薬併用で予後改善の画像

【米国血液学会(ASH)】マントル細胞リンパ腫、イブルチニブ+ベネトクラクス経口薬併用で予後改善

MDアンダーソンがんセンターMDアンダーソン主導の第3相試験が、無増憎悪生存率と寛解率の有意な改善を示すアブストラクト:LBA-2

イブルチニブ(販売名:イムブルビカ )とベネト...
リンパ腫(DLBCL)の二次治療としてCAR-T細胞療法の費用対効果が低い現状の画像

リンパ腫(DLBCL)の二次治療としてCAR-T細胞療法の費用対効果が低い現状

ダナファーバーがん研究所研究概要表題
びまん性大細胞型 B 細胞リンパ腫の二次治療、キメラ抗原受容体 T 細胞療法:費用対効果の分析出版物Annals o...
再発した白血病、リンパ腫にネムタブルチニブが有望の画像

再発した白血病、リンパ腫にネムタブルチニブが有望

オハイオ州立大学総合がんセンターオハイオ州立大学総合がんセンター・アーサーG.ジェイムズがん病院リチャードJ.ソロベ研究所(OSUCCC – James)の研究者らが研究している新しい...